第4回イスタンブール・デザインビエンナーレ
「学校の学校」とは?

9月22日からトルコ、イスタンブールで第4回デザインビエンナーレが開催される。タイトルは「学校の学校」。デザイン誌「AXIS」195号9月1日発売号で世界のデザイン大学が特集されるなど、今注目を集めるデザイン教育というテーマにビエンナーレはどんな解を見出すのか?本展のキューレーター、ヤン・ボーレンが寄稿してくれた。

デザインとデザイン教育の現状

今日デザインは、お問い合わせのための記入用フォームか、権威か、はたまた代理店となってしまった。

地球や生命よりも巨大化し、人々の日常生活のあらゆる層に浸透している。デザインがこれだけ広く蔓延したのに、この分野はもはや胸をはって物事の解決策を提供できそうにない。事実よくある何にでも合うというようなグローバルなシステムのやり方は破綻をきたし始めている。

デザイン教育も同じだ。この分野とその実践者たちは、伝統的に、批判され磨きをかけられることに慣れているが、今ではデザイン教育そのものが、新しい制約の中で、自らが舵取りの方法を見つけ出し、適合性、順応性、アクセスビリティーやファイナンスといった課題に挑戦している。

バウハウス、ブラックマウンテンカレッジ、グローバルトゥールズからシグマグループと、デザイン教育の先駆性は、常に、実験と新しい情報のための注目を集める場を供給してきた。

これらの先見性は、デザインの境界性を推し進め進化させただけでなく、一般的な教育や学習にも役に立ってきた。つまりデザインに対する関心だけでなく、さまざまな新しい計画は、働き方、暮らし方の選択の可能性を試行し、私たちをお互いに結びつけてきたのである。

こうした一連の経験的リサーチを通して、現在、新しいデザインの兆候、意味、憶測が浮かびあがりつつある。

テーマは「学校の学校」

バウハウスから99年、世界はまったく別の場所になった。しかしデザイン教育についてはほとんど何も変わっていない。そこで2018年イスタブール・デザインビエンナーレは、「デザイン教育」をテーマとした。

タイトルは「学校の学校」。学習としてのデザインを考え、デザインを学ぶビエンナーレである。

イスタンブール文化芸術財団(iKSV)による第4回イスタンブール・デザインビエンナーレ「学校の学校」は、歴史的な題材からヒントを得て、新しい異議申し立ての場を目指す。

そこでは知識の交換を通じて、デザインというものを学ぶことができる。従来からある教育をやり直すというよりは、このビエンナーレでは、歴史を通した一貫性のあるデザイン教育と整合性のある、特例の場をつくりだすことを目指している。

またビエンナーレのねらいとして実践的なデザイン界の領域を広げること、また、新しい社会のインタラクションや、私たちはどう生きたいのか、お互いにどう関係していきたいのか、そしてイノベーションを推進するものとしてデザインをどう使っていきたいのかという疑問を投げかけている。

第4回イスタンブール・デザインビエンナーレのねらい

デザインに対する熟考の場として、ビエンナーレでは、デザインとデザイン教育の生産物と複製品を疑問視する機会を提供する。第4回イスンタンブール・デザインビエンナーレでは、前時代からの遺産を構築し、自己改革のため、また教育やデザインのための過程を重視した稔りある生産的なプラットフォームとなるために、都市から、また都市を超えて研究、実験、学習を行う。

100以上もの参加者が一緒になって、ラディカルな多様性を持ちながら、実装されたシステムに変わる案を探し出し、デザインの境界線を広げ、新しい知見をつくりあげていくだろう。End

第4回イスタンブール・デザインビエンナーレは2018年9月22日(土)から開催される。詳細はこちらから。

A School of schools, 4th Istanbul Design Biennial by Jan Boelen

Today, design has become a form of enquiry, power and agency. It has become vaster than the world and life itself, permeating all layers of everyday life. As design becomes pervasive, the discipline can no longer claim to offer solutions to everything. In fact, the one-size-fits-all approach of many universal global systems is showing its cracks. Similarly, design education – where the field and its practitioners have traditionally been reviewed and refined – now finds itself navigating new constraints and challenges regarding relevance, adaptability, accessibility and finances.

Alternative design education initiatives have consistently provided a brave space for experimentation and new knowledge, from the Bauhaus to Black Mountain College, and from Global Tools to the Sigma Group. These initiatives have not only helped to evolve, challenge and push the  boundaries of design, but also of education and learning in general. Not only concerned with design, many of these experiments have also tested alternative ways of living, working, and connecting with each other and ourselves. Through this process-based experiential research, new manifestations, meanings, and implications of design have surfaced.

Ninety-nine years after the Bauhaus, the world is a very different place – and yet design education has mostly remained the same. Thus, in 2018, the Istanbul Design Biennial takes design education as its theme. Titled A School of Schools, this is a biennial about design as learning, and learning as design.

Organised by the Istanbul Foundation for Culture and Arts (İKSV), the 4th Istanbul Design Biennial, A School of Schools, takes inspiration from these historical examples, and seeks to create new spaces of exception where design can learn from itself through the exchange of knowledge. Rather than replacing or refining education, the biennial seeks to create the kinds of spaces of exception that have been a consistent aspect of these alternative design education initiatives throughout history. The biennial also aims to open up the scope of the pragmatic design world, questioning new social interactions, how we want to live and relate to one another, and how to use design to drive innovation.

As a space for critical reflection on design, the biennial offers an opportunity to question the very production and replication of design and its education. In 2018, the 4th Istanbul Design Biennial builds on the legacy of previous editions, in order to reinvent itself and become a productive process-orientated platform for education and design to research, experiment and learn in and from the city and beyond. Together, more than 100 participants will create new knowledge, search for alternatives to implemented systems, and with radical diversity, push the boundaries of the design discipline.End