米サンディア国立研究所材料工学チーム
世界で最も耐摩耗性に優れた金属を開発

▲サンディア国立研究所のMichael Chandross(左)とNic Argibay。コンピュータシミュレーションにより予測した白金加金合金の耐摩耗性を、環境条件を設定したトライボメータで実証している。(Photo by Randy Montoya)

アメリカ合衆国エネルギー省が管轄する研究機関であるサンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)は、同研究所の材料工学チームが、世界で最も耐摩耗性に優れた金属である白金加金合金(platinum-gold alloy)を開発したことを発表した。

この合金は、高強度鋼(high-strength steel)より100倍耐久性が高く、自然界で最も耐摩耗性の高い素材であるダイヤモンドとサファイアと同じクラスに属する初めての合金、もしくは異種金属の組み合わせとされる。

金属は一般的に強いと考えられているが、エンジンのように他の金属と繰り返し摩擦した場合、エンジンオイルのような保護がないかぎり、摩耗、変形、腐食してしまう。それに対して、同研究所の白金加金合金コーティングでは、仮想タイヤによる1マイルの滑走シミュレーションにおいても、原子1層分しか失われないという。

この超耐久性コーティングを用いれば、エレクトロニクス産業において、材料費だけで年間1億ドル以上の節約ができるそうだ。費用対効果や長期持続、信頼性という点で、航空宇宙システムや風力タービンから、携帯電話やレーダーシステムなどのマイクロエレクトロニクスに至るまで、あらゆる規模のエレクトロニクスで幅広く活用が期待されている。End