日本国内でのヒト受精胚への遺伝子編集技術の使用に関する指針案がまとまる

▲Photo by Louis Reed on Unsplash

学術雑誌・ネイチャー(電子版)は2018年10月3日(水)、日本の文部科学省と厚生労働省の専門家会議が9月28日(金)にまとめたヒト受精胚への遺伝子編集技術の使用に関する指針案について報じている。

日本では、研究のためにヒト受精胚の使用を規制しているが、「CRISPR-Cas9」などの新たな遺伝情報改変技術については具体的な指針は今までなかった。ただ、この指針は生殖補助医療を目的としたヒト受精胚操作を制限するものだが、法的拘束力はないそうだ。

ヒト受精胚のDNA操作により、ヒトの初期の発達について解明できるかもしれず、また研究者は、遺伝してしまう前に病気の原因となる遺伝子変異に対処する技術の長期的な研究を望んでいる。

しかし、これは研究用であっても議論の余地がある問題だ。倫理学者や多くの研究者は、この技術が治療以外の目的でヒト受精胚のDNAを改変するために使用されかねないと心配しており、多くの国でもこうした実践は禁止されている。

日本の指針案は、2018年11月からパブリックコメントに公開される予定で、2019年上半期の施行を目指している。難しい問題だが、推移を見守るだけでなく、議論に積極的に参加することも大切だろう。End