企業のアーカイブを知的資源として新たなクリエイションにつなげていくプロジェクトチーム「アーカイブプロジェクト」による、天童木工の椅子のアーカイブを活用した新しい照明器具「アーカイブライト」が発表された。本作はプロジェクトの発起人である南木隆助が天童木工が提供したアーカイブを活用し、デザインしたもの。

▲「アーカイブライト」

この照明は、過去50年をさかのぼって、さまざまな年代でつくられた天童木工の5つの椅子に使われた型（成形合板を曲げるための型）から着想を得てつくられた。椅子の背もたれや、手すり、ロッキングチェアの脚などの椅子のディテールを、シャンデリアのような優美な曲線として活かしている。脈々と受け継がれている天童木工の技術とデザインのアーカイブを再構成することで、ひとつの照明をつくり出したと言える。

近年、個人や企業が収蔵するアーカイブの展示やアーカイブをまとめた書籍が大きな話題になるなど、アーカイブの価値が注目を集めている。世界的に見ても日本は200年以上の歴史を持つ企業が最も多いと言われている国だ。しかし、その活用については今まで十分に注目されてこなかったように思う。本作を皮切りに、企業のアーカイブを掘り起こし新たな価値につなげる「アーカイブプロジェクト」の展開にも注目だ。

▲「アーカイブライト」