長江の特性を活かした中国・武漢の建築計画
「Wuhan Yangtze Riverfront Park」

長江はアジアでもっとも長い川であり、中国の陸地の5分の1を流れている。母なる川として崇められ、文明の黎明期から中国の歴史、文化、経済を育んできた。

しかし、これまでにない工学の進歩にもかかわらず、長江流域の主要都市はみな、頻発する水害に悩まされているのだ。

1世紀近くにわたる工業開発と都市拡大を経て、この川の特性を受け入れるための新しい方法の模索から、中国の武漢では「Wuhan Yangtze Riverfront Park(武漢長江リバーフロントパーク)」の建設が進められている。

設計を担当するのは、アメリカの建築設計事務所 Sasaki Associates。川のダイナミックな増水を逆手にとって、地域の豊かな生態環境を育み、伝統的な知恵とつねに変化する川と一緒に暮らすという地元のアイデンティティを強めて、季節ごとの水量の増減に合わせた活発な余暇の体験を創造することがねらいだ。

川の干潟は生物多様性を支える上で重要な役割を果たしているが、上流の治水プロジェクトで長江の堆積物の流れが著しく衰え、干潟は急速に消滅して地域の生物多様性は危機に瀕している。

この設計案では、計画的に浚渫と整地を行うことで、干潟に多種多様な湿地帯の生態系を保持し、さまざまなミクロの環境に配慮した。川の頻繁な水位変化により複雑な植物群の成長が可能となり、一年中発展する景観的な特徴を生み出す計画のようだ。End