エストニアの偉大な作曲家アルヴォ・ペルトのレガシーを伝える
文化ホール「ARVO PÄRT CENTRE」

エストニアの海沿いの町 Laulasmaaに完成した「ARVO PÄRT CENTRE」は、マドリードとベルリンに拠点を置く建築設計事務所 Nieto Sobejano Arquitectosが手がけた新しい文化ホールである。

同国生まれの偉大な作曲家 アルヴォ・ペルト(Arvo Pärt)の創造的なレガシーを伝えるために考案されたスペースで、集中と学習の場として設計された。

背の高い松が密集した森の真ん中という美しいロケーションに建てられたこの建築は、複数の五角形のパティオをベースにして、ひとつの幾何学模様を形成したデザイン。サイズと位置が異なるので、敷地内にさまざまなエリアを構成する、空間によるシークエンスが作り出されている。

屋内の空間は、境界をなす1枚の壁に囲まれた構造。その壁の厚みのなかに大部分の施設が収まっているだけではなく、壁が建物の共有エリアとプライベートエリアを分ける要素としても機能している。外装は、大きな屋根という単一の要素が際立っており、屋内で必要となるさまざまな高さに対応できる、包みこむようなプラットホームとして構想された。

ファサードは、細い円柱が立ち並んだフィルターをイメージしており、屋根構造を支える要素にもなっている。柱が多いエリアは自然光を遮断し、少ないエリアは光がたくさん入るように、密度の異なる柱の配置を採用。細長いらせん状の展望塔と小さな礼拝堂をパティオの1つに組み入れることで、音楽、景観、建築が共鳴するプロジェクトに仕上がっている。End