地球外生命体の遺伝システムはどう違う?
情報を保存・伝達する新分子「8の字」DNAの合成に成功

▲「8の字」DNA構造の図。従来のDNAがもつ4つの情報成分(緑、赤、青、黄)に、新たに4つの分子(シアン、ピンク、紫、オレンジ)に加えている。Credits: Indiana University School of Medicine

遺伝情報を保存し伝達する複雑な分子であるDNAは、地球上のあらゆる生物で親から子へ受け継がれる。その成分は「ヌクレオチド(nucleotide)」と呼ばれる4つの重要な成分でできている。これが私たちの生命の基準となるのだが、地球以外の生命体についてはどうだろうか。

NASAが助成した画期的な研究によると、科学者たちはDNAのように情報を保存・伝達できる分子システムの合成に成功した。地球外では、DNAをベースとしたものとは異なる遺伝システムがありうるというわけだ(もちろん、これは新しい生命体の発見を意味するのではない)。

同研究では、地球外で存在する異質の構造を想像するために、地球上で異質となるものの作成を試みた。DNAの成分を4つから8つに増やし、地球上の生命体に存在する「アデニン」「シトシン」「グアニン」「チミン」の4つのヌクレオチドに、従来のDNAの情報成分の構造をまねた、別の4つのヌクレオチドを追加、情報を保存・伝達を担う二重らせん構造ができあがった。

研究チームはこの分子を「8の字」DNAと命名。他のどんな遺伝システムが生命の基盤となりうるのか、そのような地球外生物がどこで発見されるのかという問題はさらに検討が必要だという。

ともあれ、生存に適さないと思われる環境で生命が構成される方法について、さらなる研究の扉を開くものとなる。地球外には、私たちが想像したことのない形で生命が満ちているかもしれない。End