小型のティラノサウルス「Moros intrepidus」を新発見
約9,600万年前の白亜紀にアメリカに生存

▲「Moros intrepidus」 Credit: Jorge Gonzalez

肉食恐竜ティラノサウルスにも、小型の種類がいたという発見がされたそうだ。この発見は、ティラノサウルスがいつ、どのように北アメリカを根城にするようになったか、重要な新しい情報をもたらすという。

ノースカロライナ州立大学の研究によると、この「Moros intrepidus(モロス・イントレピドゥス)」という小型ティラノサウルスは、約9,600万年前の白亜紀に、現在のユタ州にあった草の生い茂るデルタ地帯に住んでいた。

その名前は「破滅の前触れ(harbinger of doom)」といった意味で、北米でまだ発見されていなかった最古の白亜紀のティラノサウルス種。

10年間をかけて、白亜紀後期の初頭に堆積した岩のなかに、モロスの歯と後肢を発見。比較的小さく、現代の「ミュールジカ」の大きさほどで、腰の高さは3~4フィート(約90~120cm)しかない。このモロスは、亡くなったときにはすでに7歳以上であり、ほぼ完全に成長したと推定している。軽量で非常に俊敏、感覚能力に優れ、捕食動物としても手強かったとか。

北米で発見された中規模の原始的ティラノサウルスは約1億5000万年前のもの。約8,100万年前の白亜紀には、私たちが知っている巨大で象徴的な捕食動物として頂点に君臨した。とすれば、モロスの登場からティラノサウルスが権力を握るまでに1500万年もかからなかったことになるそうだ。End