肉の食感がある 「培養ステーキ肉」が食卓に!?
日清と東大がサイコロステーキ状のウシ筋組織の作製に成功

▲Photo by Bobby Rodriguezz on Unsplash

日清食品ホールディングス東京大学 生産技術研究所の竹内昌治教授の研究グループは、牛肉由来の筋細胞を用いて、サイコロステーキ状の「ウシ筋組織」を作製することに世界で初めて成功した。

世界的な人口増加やライフスタイルの変化により、将来的には地球規模で食肉消費量の増加が見込まれているそうだ。一方で、家畜の生産には大きな環境負荷がかかることや、飼料や土地の不足が大きな問題となっている。

この「培養肉」は、細胞を体外で組織培養することによって得られた肉のこと。家畜に比べて地球環境への負荷が低く、広い土地も必要とせず、厳密な衛生管理ができるなど、さまざまな利点がある。

肉本来の食感は、筋肉に含まれる筋組織の立体構造から生み出されるそうだ。これを体外で人工的に作製するためには、筋細胞を増やすだけでなく、筋細胞をより成熟させる必要がある。そこで同研究グループは、培養過程でウシ筋細胞にビタミンCを与え、成熟を促進させる方法を採用。

また、厚みを作るために、従来の平面的な培養ではなく、コラーゲンゲルのなかで立体的に培養し、筋組織に特有の縞状構造(サルコメア)を持つ細長い筋組織を作製。さらに、筋細胞の集合体を積層し、特殊な方法を用いて培養して、世界で初めてサイコロステーキ状(1.0㎝×0.8㎝×0.7㎝)の大型立体筋組織が完成した。

▲サイコロステーキ状の大きな筋組織

今後はこれらの技術を発展させ、さらに大きな筋組織を作製して、肉本来の食感を持つ「培養ステーキ肉」の実用化を目指すとしている。End