MITの研究チームが「滑りやすいコーティング」を開発
粘着性のあるペーストやゲルもスライド

▲研究チーム提供

過去にはボトルに残ったケチャップを取り出すという課題を解決したことのあるマサチューセッツ工科大学の研究チームは、消費者や製造業者を悩ませる新たな課題に取り組んだ。それは、分厚い素材を貼り付かせたり変形させたりせずに、そのまま滑らせることだ。

このチームが開発したのは、「液含浸表面(liquid-impregnated surface)」と呼ばれる滑りやすいコーティング。これを使えば、製造装置の内側に付着した材料から生じるゴミを取り除くなど多くの利点があり、パンから医薬品まで幅広い製品の品質を向上させたり、フロー電池の効率を向上させる可能性もあるという。

問題となるのは、ゲルやペーストなどの「降伏応力流体(yield-stress fluids)」。こうした素材は、容器をひっくり返しても動き出さず、容器を絞るなどの力を加えないといけない。ただ、この絞る行為自体は、パンを作るときには捏ね過ぎなどの影響があるそうだ。

新しいプロセスでは、表面上に狭い間隔で柱状か壁状のものをエッチングしたり、機械で研磨して溝やくぼみをつけたりするなど、ナノスケールでテクスチャー処理した表面を作製。

これは毛細管現象と同じプロセスで、こうしたライニングを施した容器の内側では、どんな素材も潤滑液と接触するだけで、固形の容器の壁に付着せずにすぐに滑り落ちるのだ。End