ナインアワーズなんば駅、
豊かなサニタリー空間で新たな魅力発信

都心における機能的かつ高品質なトランジットサービスを提供するカプセルホテル「ナインアワーズ」は2019年4月26日(金)、南海電鉄が展開する「なんばパークスパークスタワー」3階に「ナインアワーズなんば駅」をオープンさせた。

ナインアワーズは、ホテル滞在中の「シャワー」+「睡眠」+「身支度」という3つの基本行動に特化、それぞれの機能性と品質を徹底追及したホテルだ。仮眠やシャワーのみでも利用できるなど、部屋という空間概念を捨てて、身軽に使いこなすことで、街とダイレクトにつながり、都心ならではの宿泊・トランジットスタイルを提案している。

同ホテルでは、これまで気鋭の建築家やインテリアデザイナーとともに建築・設計してきた。代表の油井啓祐氏は「ナインアワーズが定着してきている今、さらに個性的な面も発信していきたい」と意欲を語る。通算で11件目となる今回は成瀬・猪熊建築設計事務所が担当。快適性や効率性をさらに向上させたというナインアワーズなんば駅を実際に訪ねた。

▲カウンターでチェックインを済ませ、ロッカーへ向かう途中の廊下部分。長さを十分に生かした直線的な照明には、今後「スリーピングポッド」の形を模したカッパー色の照明フレームが装着される予定だ。

ナインアワーズの象徴的なスリーピングポッドは、男性客室に82床、女性客室に83床の全165床。「上質な気持ちで眠りについてほしい」という想いから、男性客室と女性客室でそれぞれ面材のカラーを温かみのあるシルバー、カッパーに設定。

▲女性客室の面材:カッパー色(上)、男性客室の面材:シルバー色。いずれも温かさを感じるメタルカラーで上質な印象を与えてくれる。

客室に有彩色を取り入れたのも今までのナインアワーズと異なる点ではあるが、最も特徴的なのは水回りの設計とカラーリングだ。今回の設計にあたりナインアワーズに宿泊した成瀬・猪熊建築設計事務所のふたりは「滞在中、最も多く立ち寄る場所がロッカー」であることを実感。それならばロッカーのあるサニタリー空間を中心とした設計にしたいと考えた。

そのためナインアワーズなんば駅では、客室のカプセルをきっちりと詰めることによって生まれた空間を豊かな水回りの設計のために利用。ロッカー、洗面台、シャワー、トイレそれぞれを細かく仕切らずに、ゆったりと見せることで開放感のあるサニタリー空間が誕生した。

▲高さが十分にあるロッカー。大きめの荷物で滞在する旅行者にとってはありがたい。

▲女性ロッカー室の洗面台(上)と男性ロッカー室の洗面台。鏡に照明が組み込まれることで、顔まわりはしっかり明るく(美しく!)見える。部屋全体の照明計画としては必要最低限のダウンライトで構成され、夜遅くに到着する人にとっても落ち着く明かりに気配りを感じる。

女性ロッカー室にはラウンジ機能をもたせたふたつの空間が登場。スリーピングポッドを大きく広げたような奥まった外観と、会話が弾むようなカラーリングで、思わず座ってみたくなる。複数人で宿泊する際に会話を楽しむ場所としても活用できそうだ。

▲「おこもり感」のある空間が楽しい。男性ロッカー室にはない設えになるが、その代わりに長くゆったりとしたベンチが用意されている。

「柴田文江さんがデザインしたスリーピングポッドをはじめとするプロダクトデザインや設備面の要素などが予め決まっているナインアワーズで、自分たちらしさをどこまで、また、どのように表現するかということを考えました。そのなかで、水回りエリアを豊かにしたほうが『ナインアワーズの特徴』は出るんじゃないかと思い、面積を広く取るだけではなく寛ぐためのペースやカラーリングなどの演出にもこだわりました」と、話す猪熊氏。成瀬・猪熊建築設計事務所は2019年夏に開業予定の福岡市博多区のナインアワーズも内装設計を担当する。なお、ナインアワーズなんば駅では先着順でお得に宿泊できるOPEN記念プランも実施中だ。

各地で気鋭の建築家が建築・設計した空間が楽しめるナインアワーズ。それぞれのナインアワーズの個性を楽しみながら滞在するのも旅の楽しみのひとつになるだろう。