独自のデザイン手法から生まれた2つの家電。
プロダクトデザイナー清水久和&日立による新シリーズ

S&O DESIGNを主宰する清水久和は、「コンティニュアスデザイン」という独自の手法を用いて、カメラや家具といった身近な製品から、瀬戸内国際芸術祭のアート作品までを手がけているプロダクトデザイナー。コンティニュアスデザインを訳せば「連続性のデザイン」。通常の製品開発では、スケッチ、デザインを検証するための3Dモデルの作製、量産のための図面化といったプロセスごとにツールを持ち替え、データをつくり変えなければならないが、この手法ならば横断的に用いることが可能。それにより、製品開発期間を短縮でき、仮にプロセスの前段階に戻るような仕様やデザインの変更が生じたとしても、柔軟に対応できるという特徴がある。

説明が長くなったが、今春、 日立グローバルライフソリューションズから発売された衣類乾燥除湿機「HJS-DR601」と ヘアドライヤー「HID-T600B/HID-T500B」は、コンティニュアスデザインから生まれた日立の新シリーズ。

一般的に家電はいくつものパーツを組み合わせて成型されるが、この衣類乾燥除湿機で目を引くのは、通常ありがちな機器の側面にパーツの接合ラインがないこと。それゆえ、トートバッグをイメージしたという持ち運びしやそうな取っ手や、すそ広がりの安定感のある形状が際立ち、部屋に置いたときにすっきりと馴染みそうだ。

また、ヘアドライヤーは持ち方を変えながら使用することに着目し、ハンドルのデザインを一から見直したという。その結果、誕生したのは、三角柱の本体や逆三角形をした吸引口、下に向かって細くなる三角形のグリップといった形状だ。ハンドル付け根に埋め込んだゴムも、親指でしっかりホールドするための工夫だという。

▲Photos by Michinori Aoki

数々のプロダクトデザインを手がけている清水だが、意外にも白物家電は今回が初めて。コンティニュアスデザインならば、シリーズ全体で調和のとれたデザインも容易に実現できるという。本シリーズに今後どのようなアイテムが加わっていくのか期待したい。End