オランダ・ロッテルダムの港に浮かぶ「Floating Farm」
40頭の乳牛を収容できる三重構造の牛舎

乳牛といえば草原の牧場にたたずむ光景が思い浮かぶが、海を眺めながら草をはむ牛の姿が見られる施設が完成した。オランダ・ロッテルダムの港に浮かぶ「Floating Farm」は、40頭の乳牛を収容できるコンパクトな三重構造の牛舎だ。

地元の建築スタジオ GOLDSMITHが手がけた船舶の基準にもとづく農業用の建築で、浮力と安定性を高める構造や材料を採用。重量のある構造や機械装置はすべて建物の水面下に配置し、重要な機能はすべて上部の軽量構造に配置することで、コンクリート、半透明のポリカーボネート、オープン構造の3層構造のファサードができあがった。

コンクリート製の台船を3隻つなげ、ヨーグルトのための原料となる果物を生産したり、雨水や廃水のリサイクル設備を収容。上階の工場フロアには、牛乳やヨーグルトの加工装置、給餌システム、肥料処理施設、さらには店舗まであるという。屋根付きの牛舎では肥料清掃ロボットや搾乳ロボットが稼働しており、動物愛護という点からも配慮がなされている。

▲Photography:Ruben Dario Kleimeer

また、スチール製の桟橋を通ると、牛舎の周りにある廊下に至る。この場所は学習用などさまざまな用途に使える空間になるそうで、来場者はここから酪農の現場を妨げることなく、この農場で行われているすべての活動を観察することができる。End