中国・北京の北部に2018年に完成した「Junshan Cultural Center」は、郊外の山々と密雲水庫近くを流れる川の真ん中にある。

もとはごくふつうの2階建てのビルで、Neri＆Huはこの環状になった建築をアイコニックなクラブハウス兼販売センターへとリノベーションを行った。このプロジェクトでは、既存の中庭を活用することで、クラブハウスのメンバー用と販売センターの来客用の2つのシークエンスを組み合わせた。

その土地の文脈にインスピレーションを得て、伝統的な北部の建築と現代の建築言語を組み合わせ、新しい建築表現へと解釈。レンガの塊が静かに水から浮かび上がるようなデザインで、そこに切り開かれた空間が庭園と連動することで屋内と屋外の境界をあいまいにしている。

ファサードは温かみのある木目調のアルミパネルで覆い、レンガ造りのファサードの重々しさを緩和。各部屋にはスクリーンを設けることで、それぞれ表情の異なるファサードができあがる。さらに、ゴールドのブリックタイルをベースとし、これが外観から屋内の中間スペースへと続いている。

インテリアの背景にはレンガと木製パネルを使用。天井はインテリア全体に意匠を凝らし、空や日光が感じられるようにさまざまな形状でカットして、各部屋に活気をもたらしている。くわえて、ヴェネチアンプラスターの豊かな質感に光が反射すると、各スペースはそのつど変化するそうだ。

カスタマイズ家具や洗練された真鍮のディテール、アクセントとなる石の自然な模様、柔らかな布地、繊細な照明などが調和して、控えめな高級感を演出してくれる。