MVRDVが台南で手がけた「Tainan Spring」
かつてのショッピングモールを都会のオアシスに

建設設計事務所 MVRDVが台湾・台南で手がけていた「Tainan Spring」が完成した。かつて街の中心にあったショッピングモールをオアシスに変え、若い木々を緑豊かなジャングルへと成長させて、都会に自然やウォーターフロントを出現させる公共スペースのプロジェクトである。

台南の水路は17世紀以来、市の海運や漁業を担ってきたが、1983年には運河に隣接する古い港に「China-Town Mall」ができ、街と水路の関係も薄れつつある。また、モール自体も今では活気を失い、オンラインショップが実店舗に取って代わる現在において、Tainan Springはひとつのソリューションを示すものとなった。

このプロジェクトでは、モールを解体したのち資材のリサイクルを実施。地下駐車場を都会のプールとし、その土地の緑豊かな植物を付近に植え、周囲は日陰となるアーケードで囲んだ。

プールは年間を通して使えるように設計、雨季と乾季に応じて水位が変わり、夏の暑い日にはミストが気温を下げてくれる。また、遊び場や集会スペース、パフォーマンス用のステージを設け、ショップやキオスクなどに使えるようにコンクリートの骨組みを残してオブジェとしている。

さらに、地下2階の一部はガラス張りのままとすることで、かつてこの地にあり、台南の歴史に重要な1ページを刻んだショッピングモールという遺産を称えるようにした。

また、台南ではMVRDVによるもうひとつのプロジェクト「Tainan Market」も進行中で、2020年中には完成する見込みだ。End