欧州宇宙機関が柔軟・極薄の太陽電池の開発
耐用年数時の発電効率を最大32%向上

▲© ESA–SJM Photography

欧州宇宙機関(ESA)は、柔軟・極薄の太陽電池の開発を行っている。宇宙ミッションで最高の「動力対質量比(power to mass ratio)」を実現するためのものだそうだ。

開発されたプロトタイプの太陽電池は人間の髪の毛にも満たない、厚さわずか0.02 mm。 宇宙向けの太陽電池などを手がけるドイツの「Azur Space Solar Power」、および薄膜のデバイスを開発するオランダの「tf2」と共同開発している。

耐用年数を迎えたときの発電効率を最大32%向上させた太陽電池で、「エピタキシャルリフトオフ(Epitaxial lift-off)」と呼ばれる技術を採用。既存のゲルマニウム基板からゲルマニウムの薄膜層を剥離させる方法だそうで、コストの高い材料が再利用できる利点があるという。

この技術を使って、3つないし4つの異なる材料の層を重ね合わせた、高い発電効率をもつ三重接合と四重接合の太陽電池が製造された。また、これは太陽光スペクトルに含まれるさまざまな波長を利用するように最適化もされているようだ。

こうした極薄の太陽電池は、将来的にはESAの衛星に用いるほか、無人の航空機や気球を成層圏に展開させて衛星のような役割を行う「高高度擬似衛星(HAPS)」への利用が期待されている。End