Whatever、自身の死後の肖像の扱い方について
意思表明できるプラットフォーム「D.E.A.D.」公開

クリエイティブ・スタジオ Whatever Inc.は、自身の死後の肖像の扱い方について意思表明できるプラットフォーム「Digital Employment After Death」、略して「D.E.A.D.」を2020年3月19日(木)にオープンした。

「D.E.A.D.」では、自分の死後、自分の個人データとAIやCGなどを活用して「復活」させられること、さらには「働かされる」ことを許可するかどうかの意思表明文書を作成し、ダウンロード/シェアできるサービス。

近年、テクノロジーの発達により、個人のデータを活用してさまざまな創作物が作られるようになった。個人の発言を学習してAI のキャラクターを生成したり、「Deepfake」と呼ばれる技術で顔画像を学習して他人の顔と差し替えるなど、肖像権を侵害するような表現も可能になり、倫理観の面などから多くの議論を巻き起こしている。

一方、Whateverは、2019年3月28日放送のNHK総合の番組「復活の日~もしも死んだ人と会えるなら~」の企画・テクニカルアドバイザー・アートディレクションを担当し、タレント・出川哲朗氏の8年前に亡くなった母親をテクノロジーによって「復活」、再会させている。

また、Whatever以外にも、2019年の年末にはテレビ番組で美空ひばりがAIで復活、新曲を披露するなど、世界中でたくさんの人々が「復活」し始めている。Whateverはこのような状態を「D.E.A.D」と命名。

「復活」した故人(Digital Resurrection)や自分の分身(Digital Twin)を用いたコンテンツは、有名人だけの問題ではなく、スマートフォンやPCで自分のデータをネット上にアップしている私たちにとっても無関係ではない。データさえ残っていれば、「復活」できる、もしくはさせられてしまう可能性があるのだ。

同スタジオのリサーチの結果、約63%の人々が「復活」に反対しているという。そんな状況の中、このテクノロジーを前向きに活用していける可能性を引き続き探れるような社会にするためにも、まずは生きているうちに個人の意思が表明できる場があればと考え、D.E.A.D.の公開に至った。

自分の死後、AIやCG技術での「復活」を許すのか。デジタル社会に一石を投じるこの試みをぜひチェックしてみよう。End