果物や野菜が腐りそうになる時期がわかる
エチレン検出用の小型センサーをMITが開発

▲Image:Stock imagery edited by MIT News

植物は花が咲き、実が熟すと、エチレンと呼ばれるほのかに甘い香りのする無色の気体を出すそうだ。目には見えないが、エチレンは食物の「食べごろ」や「傷みかけ」のサインにもなりうるのだ。

そこで、マサチューセッツ工科大学の研究チームは、このエチレンを15ppbの低濃度で検出できる小型センサーを開発した。これを使うことで果物や野菜が腐りそうになる時期がわかり、食品ロスが防げるとしている。

エチレンはほとんどの植物が出すもので、成長や熟成など、ライフサイクルの重要な段階を促すホルモンだそうだ。バナナは熟して茶色に変わるにつれてエチレンを多く出し、花は咲き始めるとエチレンを放出する。

ただ、ストレスにさらされた農産物や花はエチレンを過剰に出すこともあるそうで、そうなるとふだんより早く熟してしまったり、早く萎れてしまうこともあるという。米国農務省によると、米国内のスーパーマーケットでは毎年、果物や野菜の約12%が傷んでしまうと推定されている。

今回開発したセンサーは、カーボンナノチューブでできており、「ワッカー酸化」と呼ばれるメカニズムを使用。パラジウム触媒が酸素とエチレンを結合させて酸化を起こし、触媒は一時的に電子を獲得。パラジウムから電子がカーボンナノチューブに伝達されて導電性を高め、そこで生じる電流の変化を測定することでエチレンが検出できる仕組みだ。

また、エチレンはプラスチックや衣類などの製造にも使われているので、このセンサーが工業用エチレン製造でも役立つ可能性があると主張している。End