Cannon Designのディラン・
クーンラッド氏がコロナ後の生活に
対応し標識をリ・デザイン。

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

Cannon Designのクリエイティブディレクター、ディラン・クーンラッド氏(Dylan Coonrad)は、コロナ禍の生活において注意すべき新たな行動を伝えるために、既存の標識をリ・デザインする提案をしました。

SPREADはこう見る

この左側の黄色い標識、何だかわかりますか?これはニューヨークで使われている横断歩道の標識です。初めてこれを見た時「なんでカバンを持っているんだろう?」「どうして男女が並んでいるんだろう?」と違和感を感じました。背景は青色で子供が二人、または帽子を被った男性が描かれているのが横断歩道であると、日本で見慣れている標識のイメージが強かったからだと思います。あまり意識することのない標識のグラフィックにも、国ごとの特徴があります。クーンラッド氏は、この標識を社会的距離を伝えるものにリ・デザインしました。正式に採用されたら、横断歩道を渡りきるまで時間がかかりそうですね。それに合わせて信号の点灯時間も変わるのでしょうか。

街中でよく見かける標識は、そこで暮らす人々の行動の規範を示すものです。パンデミック以前は当たり前だった行動を変える必要があるいま、その変化を標識に反映することは、多くの人に自然に伝えられる有効な方法です。クーンラッド氏の提案は他にもあります。踏切注意の標識は、互いに手を触れないようにするものに、床濡れ注意のサインは、医療従事者に賞賛を伝えるものに、等々。

私たちの生活スタイルも変わるでしょう。例えば銭湯や温泉などでは、ひとりずつ入るサイズの浴槽が並べられるかもしれません。集団登校の子供たちが、2mの紐で間隔を取りながら連なって歩く。そんな日がやってくるかもしれません。End

Dylan Coonrad
建築、エンジニアリング、建設 (AEC) のグローバル企業であるCannon Designのクリエイティブディレクター。グラフィックチームのリーダーとして、ビジュアルアイデンティティとクリエイティブマーケティングを統括している。

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。