NASAが火星周辺の電流を可視化し初公開
火星の砂漠化の原因に関わる

▲(c)NASA, ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA), J. Bell (Cornell University), and M. Wolff (Space Science Institute, Boulder)

NASAは、2014年より火星の大気についての調査を行う火星探査機「MAVEN」のデータから作成した、火星周辺の電流を示すマップを公開した。

火星における電流が問題となるのは、これによって火星の大気が流出してしまうからだそうだ。火星が荒涼とした砂漠の世界になるのも、電流による大気の流失が原因のようである。

地球上でも、こうした電流や大気流出は発生する。太陽からもたらされる「太陽風」と地球磁場が相互作用して電流が発生し、発光するのが「オーロラ」である。このオーロラ爆発にともない、大気中のイオンは宇宙空間へ流出することがあるようだ。

▲Credits: NASA/Goddard/MAVEN/CU Boulder/SVS

だが、地球と火星では事情が異なるそうで、地球には磁場があるのに対して、火星にはこうした磁場がほとんどない。そこに太陽から直線的に太陽風の磁場があたり、火星を包み込む。

ただし、太陽風の磁場は、磁場がない火星の高層大気をまっすぐ通過することができず、誘導磁気圏というものを形成。これが火星の大気流出に大きくかかわるとされる。

今回のマップは、火星周囲の電流を可視化したもので、そのメカニズムや火星の砂漠化の仕組みががわかれば、今後の火星ミッションでも役立てることができるだろう。End