脳など人体の組織が伸び縮みする!?
MITによるイメージング用化学プロセス「ELAST」が開発

▲画像提供:Chung Lab

マサチューセッツ工科大学は、人体の組織を伸縮可能や圧縮可能にしたり、ほとんど分解できないものにする、「ELAST」と呼ばれる化学プロセスを開発したと発表した。

これにより、脳などの大きな組織にある細胞や分子のイメージングが簡単になり、研究室での長期間にわたる処理にも耐えられる、丈夫なサンプルができあがるとしている。

たとえば、脳や腎臓、肺、心臓などの臓器にある、細胞、タンパク質、遺伝物質やさまざまな分子に対して、非常にすばやく「蛍光標識」ができるようになるという。組織を伸ばしたり薄く押しつぶしたりできれば、「標識プローブ」がはるかに迅速に注入できるようになるのだ。

人間の脳全体の包括的なマップを作成するにあたり、立体的な構造を保つためには、ぶ厚い撮像範囲(スラブ)にあるひとつひとつの小さな細胞や分子の細部に標識し、スキャンしなければならない。そして、ラボではこの脳に傷をつけず、完璧な状態を長い間保たなければならない。

そこで、研究チームは、高濃度のアクリルアミドとごく少量の架橋剤および開始剤を使用。長い高分子鎖が絡み合い、構造的に完全で、柔軟性が大幅に向上したゲルができあがった。

この研究では、人間やマウスの脳組織を一度に縦横2倍に伸ばしたり、厚さを10倍にまで圧縮したりしても、もとのサイズに戻したときにほとんど歪みが生じないことを確認したそうだ。End