スイス・チューリッヒの劇場「Tanzhaus Zürich」
建築で川沿いの遊歩道を再活性化

▲Photo by Simon Menges

スイス・チューリッヒにある「Tanzhaus Zürich」は、コンテンポラリーダンスを中心にパフォーマンスを行うための劇場である。

▲Photo by Simon Menges

既存のチューリッヒ市の建物は2012年に火災で被害を受けたため、Fabrizio BarozziとAlberto Veigaによるバルセロナの建築設計事務所 Barozzi Veigaは、国際コンペを経て、新しいTanzhausの設計とすぐそばを流れるリマト川の川岸の改修を手がけることになった。

プロジェクトでは、川沿いの遊歩道を再活性化させつつ、このエリアの以前の居住環境を一新して再定義することが求められた。

▲Photo by Simon Menges

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そこで建物は、シンプルかつ階段状になったボリュームとし、スロープのなかに組み込むことで外から見てもほとんど目立たない外観となった。そして、屋根部分には新しい公共スペースが生まれ、川岸に沿ってさまざまなレベルで既存のルートをつないでいる。新しい建物を環境へと的確に組み込むことにより、プロジェクトは新旧のものを巧みに組み合わせているのだ。

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さらに、建物はその高さに応じて、歩道橋、橋の連続したモジュラー金属構造、川を横切る桟橋など、周囲の環境と馴染むことを目指した。つまり、この建築は一種のインフラとして、この地域の過去の産業を物語る既存の要素を再解釈する、連続的なファサードとなるのである。

▲Photo by Simon Menges

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構造は高架建築の基本にもとづき、特別な断熱コンクリートを使用することで、単一資材によるファサードのデザインが実現。ほとんど「プリミティブ」ともいえる建築が可能となった。

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さらに、このファサードは、台形の壁と窓を交互に繰り返すことで、「新しい建物と文脈との対話」、「構造上の問題から硬い素材を用いつつも、屋外の公共スペースとの浸透性のある関係をもつこと」、そして「機械やさらなる鉄筋コンクリート構造を用いた遮光システムを使わずに、建物内への太陽光の侵入を制御すること」という3つの課題をクリアしている。

▲Photo by Simon Menges

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また、建物を強い日差しから保護するために、6種類の落葉性のつる植物を植え、1年でもっとも日光が当たる時期に法律で定められた制限値を達成。冬の間は植生が少なくなるので、屋内により多くの日差しが入るようになる。End

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