東京都内の中小製造業活性化策として東京都が主催し、公益財団法人日本デザイン振興会が企画・運営を行う「東京ビジネスデザインアワード」は、デザイナーからの提案応募の受付を開始している。募集期間は2020年9月8日（火）から11月3日（火・祝）まで。

2012年に開始し、今年度で9回目となる同アワードは、都内のものづくり中小企業と優れた課題解決力・提案力を併せ持つデザイナーが協働することを目的とした、企業参加型のデザイン・事業提案コンペティション。

都内ものづくり中小企業が持つ高い技術や素材をコンペティションのテーマとして選定し、このテーマの新たな用途開発等を軸とした事業全体のデザインをデザイナーから募集、優れた事業提案の実現化を目指している。

今回は都内の中小企業から募集したテーマ全9件が下記の通り決定しており、これに対するデザイナーからの提案応募が求められている。

2020年度 東京ビジネスデザインアワードテーマ 全９件の概要

中興化成工業株式会社（港区）
機能性と高強度を兼ね備えた「フッ素樹脂ファブリック」

株式会社一九堂印刷所 （中央区）
環境にやさしい素材に特化した「パッケージ印刷加工技術」

ダイヤロン株式会社（中央区）
貼ってはがせて自由に切れる「樹脂製畳表素材」

有限会社大成塗装電機製作所（瑞穂町）
多様な風合いを表現する高度な「特殊塗装技術」

有限会社東屋（墨田区）
精密な柄合わせと職人芸が光る「革製品製造技術」

株式会社千葉印刷（渋谷区）
42億色を鮮やかに表現する「オンデマンド印刷技術」

株式会社ミヨシ（葛飾区）
環境負荷を軽減したプラスチック材による「射出成形技術」

株式会社日本ラベル（板橋区）
確かな課題解決力で培われた「シール・ラベル印刷加工技術」

株式会社島田電機製作所（八王子市）
オーダー意匠器具製作で培った「アクリル樹脂の精密切削加工技術」

東京ビジネスデザインアワードの特徴

同アワードは、都内ものづくり中小企業の持つ独自の技術や素材をテーマに、商品単体ではなく販売やサービス、コミュニケーションプランも含めた事業全体のデザイン提案を募集。デザイナーは経営層とタッグを組み、密に協業することで、企業の経営資源活用やブランド構築に向けたプロセスを積み上げることができる。

さらに、デザイナーは、企業とのマッチング成立のみならず、ビジネスとしての成功につなげることを最終的な目標として、各分野の専門家で構成される審査委員会によるアドバイス（商品開発、知財戦略、デザイン契約、販路開拓など）を通じ、アワード終了後も商品化や事業化に向けた支援、および販売促進の支援を受けることも可能だ。

また、同アワードでは、これまでにマッチングした企業とデザイナーによる提案実現事例は18件を数え、発売から50万本を売り上げる大ヒット商品も誕生。現在も複数のプロジェクトが実現化を目指して進行中であるなど、商品化・事業化への実績も豊富である。

東京ビジネスデザインアワード　主な提案実現事例

2012年度テーマ賞「MASKING COLOR」
太洋塗料株式会社（大田区）× 小関隆一（RKDS）

2014年度最優秀賞・テーマ賞「FROM NOWHERE」
カドミ光学工業株式会社（日野市）× 三浦秀彦・久保井武志（クラウドデザイン）

2016年度テーマ賞「きえすぎくん」
細田木材工業株式会社（江東区）× 加藤陽子（株式会社GKダイナミックス）

2017年度最優秀賞・テーマ賞「irodo」
株式会社扶桑（葛飾区）× 榊原美歩（株式会社Good The What）

2018年度優秀賞・テーマ賞「香の具」
GRASSE TOKYO株式会社（江東区）× 清水覚、山根準、山根芽衣、安次嶺彩香

2018年度最優秀賞・テーマ賞「METALFACE」
株式会社技光堂（板橋区）× 今井裕平、林雄三、木村美智子、鈴木杏奈（kenma Inc.）

応募方法、審査、発表、賞金等について

応募資格

（1）都内中小企業と協働して提案を実現化する意欲があること、（2）国内に居住する、デザインに関わる個人もしくはグループ（連名応募も可）、（3）提案二次審査を通過した場合、提案最終審査（公開プレゼンテーション審査）に参加できること、（4）受賞後、テーマ選定企業からの発注を受けて業務遂行可能であることの4つの条件すべてを満たすデザイナーとする。

応募内容

応募費用は無料だが、提案の制作に伴う実費等は応募者負担となる。複数応募は可能で、応募点数の制限はなし。ただし、作品はオリジナルで、受付締切日の2020年11月3日時点で未発表のものに限る。また、募集にあたっては、テーマ選定企業によるプレゼンテーション動画等のwebコンテンツを参照することもできる。

審査基準

提案の「実現性」、「市場可能性」、「デザイン性」、「ビジネスプランの完成度」の4項目を審査する。

賞・賞金

提案内容の製品化を支援することなどを目的とした賞金として、提案デザイナーに対し、最優秀賞（1点）には賞金50万円、優秀賞（2点）には賞金各10万円を贈呈。また、提案二次審査で、テーマ毎にテーマ賞（1テーマにつき1点）も選出される。

デザイン提案応募説明資料公開

応募を検討しているデザイナーを対象に、応募方法の説明、FAQ集、今回発表した9社による各テーマのプレゼンテーション動画といったデザイン提案応募説明資料をオフィシャルサイトにて9月18日（金）に公開。

さらに、各テーマ企業へのインタビュー記事、実際の生産現場の様子を紹介する動画を9月中旬から順次公式サイトにて公開する予定だ。

ただし、今年度は説明会および工場見学会の開催は実施しないことになっている。