米イリノイ大学、セミの翅のナノ構造を再現し
ハイテク防水素材を開発

▲ Photo by Laura Gilchrist

私たちがしばしば目にするセミの翅には、水をはじき、表面に細菌が付着するのを防ぐことができるという優れた特性があるそうだ。

こうしたセミの翅がもつナノ構造を米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームが再現することに成功したという。この新しい方法では市販のマニキュアを使用するそうで、手頃な価格で簡単に作れて、なおかつ将来のハイテク防水素材の製造にも役立つのではないかとしている。

▲ Photo by Wayne Boo, U.S. Geological Survey

今回は、「ナノインプリントリソグラフィ」と呼ばれるプロセスの簡易版を採用。アメリカ中央部に生息する「Neotibicen pruinosus」というセミの翅にある、複雑な柱状のナノ構造のテンプレートを作成した。

まず、速乾性のマニキュアをセミの翅に直接塗布し、これを室温で硬化させることでテンプレートが完成。そのあと、ポリマーや金属をコーティングしてからテンプレートを分解させることで、ポリマーや金属の複製ができあがる。

▲ Graphic courtesy American Chemical Society

研究チームによれば、「殺菌能力を生み出すのは、翅の表面にある化学物質なのか、物理的なナノ構造なのか、それともその両方の組み合わせなのかはまだ把握していません。それでも、さまざまな化学的性質や構造をもつ材料を製造できるようになれば、そうした根本的な疑問への答えも見えてくることでしょう。この新しくて割合単純な製造方法は、今後多機能工学材料の設計にも役立つことでしょう」と語っている。End

▲(左から)研究チームのNenad Miljkovic, Marianne Alleyne, Don Cropek
Photo by L. Brian Stauffer