「コンブチャ」をヒントに
MIT研究者が丈夫で機能性のある新たな材料を開発

▲Image: Chenfu Hsing

欧米では「コンブチャ」とも呼ばれる「紅茶キノコ」は、紅茶などに砂糖を加え、「スコビー」(SCOBY、symbiotic culture of bacteria and yeast)という菌株を入れて発酵させることでできるそうだ。

この紅茶キノコの製法をヒントに、マサチューセッツ工科大学(MIT)とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、細菌と酵母を培養したものから丈夫で機能性のある材料を作り出す新しい方法を開発した。

▲Credit: Tzu-Chieh (Zijay) Tang

この研究に携わるMITのTimothy Lu准教授は、数年前に大腸菌を使って金ナノワイヤ―などの材料を埋め込んだバイオフィルムを開発。ただ、このフィルムは非常に小さくて薄く、大規模な応用は難しかったという。

そこで同氏は、紅茶キノコのスコビーに着目。実験では「出芽酵母」と呼ばれる実験用の酵母菌株を用い、これに「Komagataeibacter rhaeticus」という細菌を組み合わせることで、大量のセルロースを作り出すことができるようになった。

▲Credit: Tzu-Chieh (Zijay) Tang

さらに研究チームは実験用の酵母菌株を使うことで、暗闇で光る酵素を作り出したり、環境内の汚染物質を検出したりできるなど、細胞の操作も実現。酵母が汚染物質を検出したのち、分解するようにプログラムすることも可能だとしている。

また、培養した細菌は丈夫なセルロースを大量に生産。研究チームのシステム設計では、酵母や酵母から生成される酵素だけがセルロースの構造内に組み込まれるようにもできる。

材料を培養するのに数日しかかからず、十分な時間をかけることでバスタブサイズの大きさでぶ厚いものを作り出せるそうだ。Lu准教授によれば、この方法は非常に安価で、大腸菌を使ったバイオフィルムの千倍以上は材料を作り出せると語っている。End