傷口の感染を継続的にモニタリング
米ロードアイランド大学がスマート絆創膏を開発

▲Photo by Negar Rahmani

絆創膏は傷の手当てをするのに使われるものだが、もし、傷口が感染した可能性を教えてくれればもっと便利なものになるのではないだろうか。

米ロードアイランド大学のDaniel Roxbury助教授と元大学院生Mohammad Moeinは、絆創膏の繊維にナノセンサーを埋め込むことで、傷口の感染を継続的に、なおかつ健康な組織を冒さずに検知・監視する方法を開発した。

▲Daniel Roxbury(左)、Mohammad Moein Safaee. Photo by Negar Rahmani

その仕組みは、絆創膏内の単層カーボンナノチューブが、過酸化水素の濃度を検知することで、感染しているかどうかを特定するというものである。

ただし、ナノチューブは、そのままでは生体組織の拒絶反応を引き起こす可能性があるため、マクロファイバーで包み込んだ。これにより、ナノチューブが外側へ露出することはなく、なおかつ過酸化水素に反応することができるという。

そして、小型化したウェアラブルデバイスが、絆創膏のカーボンナノチューブからの信号をワイヤレスで光学的に受信。そのデータを自動でスマートフォンなどに送信し、患者や医療従事者へ知らせることも可能だとしている。また、布地の繊維一本一本にナノセンサーを正確に配置する製造方法も開発。独自の近赤外分光計を使用することで、布地部分の光学特性を最適化しているそうだ。

▲検知システム:繊維の内側にナノセンサーを埋め込んでいる。Image courtesy of Daniel Roxbury

「デバイスが感染を早期に診断することで、抗生物質の使用を減らし、手足の切断などの処置をしないで済むことを目指しています。慢性創傷のケアが日常的に必要な糖尿病患者に特に有効だと考えています」とRoxbury氏は語っている。End