構造をユニット化して材料を再利用
建築スタジオ LUO studioが手がけた「Longfu Life Experience Center」

▲Photographer:Jin Weiqi

中国・北京に拠点を置く建築スタジオ LUO studioが2018年に河南省濮陽市で手がけた「Longfu Life Experience Center」は、ごく一般的な木材と技術を使用して作られた多目的スペースである。

▲Photographer:Jin Weiqi

住宅展示場は、だいたい数ヶ月から数年のあいだしか使われない建物で、住宅の販売が終われば解体されてしまうものである。また、再利用しようにも、さまざまな問題や資源のムダ遣いが起きてしまうだろう。

▲Photographer:Jin Weiqi

同スタジオは、展示場にしか使えないといった、ある機能だけに制約されるのではない、幅広い用途に利用できる建物としてこのセンターをデザインしたという。

▲Photographer:Jin Weiqi

そして、人間工学にもとづいて、階段や浴室などの制限の大きいスペースをすべてモジュール化し、残りのスペースはできるだけ機能性を持たないようにするなど、機能と空間の分離を行った。

素材は、クライアントのコーポレートアイデンティティにふさわしいものとして、木材や緑などの天然素材を使用。手頃なものとして入手した木材は、長さが3~6mとまちまちだったので、こうした角材を組み合わせて「クラスター状の柱」を作り上げた。また、それぞれの柱のあいだはアーチ状になっており、構造は全体として非常に安定している。

▲Photographer:Jin Weiqi

設計から完成までの日数は2か月以内で、コストの低減も求められ、さらに迅速に構築・解体ができる再利用可能な建物が要求された。

そこで、人件費の抑制と効率化を目指して、シンプルで基本的な工法を採用。あらゆるタイプの作業をできる限り細分化し、さまざまな工場で材料をあらかじめ加工しておき、木製の柱ユニットは取り付けや取り外しがしやすいように、すべてボルトで固定した。

▲Photographer:Jin Weiqi

そのほか、電気設備や電気機器、パイプライン、家具、外装を構造ユニットに統合することで、これらの占有率を最少化。これにより、機能と空間をはっきりと分離することができ、広々としたスペースが生まれた。

ミース・ファン・デル・ローエは、自身が手がけた米イリノイ工科大学クラウンホールにおいて「ユニバーサル・スペース」を実現した。「Longfu Life Experience Center」もまたユニバーサル・スペースであり、なおかつ材料も再利用できる建築となっているだろう。End

▲Photographer:Jin Weiqi