家を建てることで人生を取り戻す女性の物語
映画「サンドラの小さな家」が公開

私たちが生活するうえで、誰もが悩む問題のひとつは住宅問題である。とりわけ人生に困難を抱え、生活に余裕がなければ、希望する住環境に移りたくてもなかなか実現できないだろう。

そんな住まいの問題に直面したとき、私たちはどのように乗り越えてゆけるだろうか。そのヒントを教えてくれる映画「サンドラの小さな家」が、2021年4月2日(金)より、東京・新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開される。

ヒロインは、シングルマザーのサンドラ(クレア・ダン)。虐待をする夫のもとから逃げ出し、2人の幼い娘と仮住まいの生活をスタートさせる。厳しい生活のなか、ある日彼女は手ごろな家を自分で建てることを思いつく。

土地も資金も人手もなく、途方に暮れる彼女。さまざまな困難が立ちはだかり、生きづらい世界に直面するが、次第に増えていく周囲の仲間たちと助け合い、一軒の小さな家を造りながら、彼女自身の人生も取り戻していく。

この作品に込められているのは、舞台となるアイルランドで昔から伝わる「メハル」の精神だという。これは、みなが集まって助け合い、その結果自分も助けられる、ということを意味する言葉だそうだ。

脚本は、サンドラを演じるクレア・ダン自身が執筆。そのきっかけは、親友がホームレス状態になったという知らせを受けたことだったと語る。この物語を紡ぐダンは、一軒の家を力強く建てるサンドラそのものと言えるかもしれない。

▲クレア・ダン

イギリスの名匠 ケン・ローチの作品を彷彿とさせる、ひとつの建築を通して、私たちに大切なものはなにかを気づかせてくれる珠玉の一作である。End

「サンドラの小さな家」

監督
フィリダ・ロイド(「マンマ・ミーア!」「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」)
主演・脚本
クレア・ダン
クレジット
2020年、アイルランド・イギリス、英語、97min、原題:herself、配給:ロングライド
公開
2021年4月2日(金)より、東京・新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
詳細
https://longride.jp/herself/