NEWS | サイエンス
2021.03.24 15:56
福岡工業大学大学院工学研究科生命環境化学専攻の宮元展義准教授の研究グループはこのほど、約100万分の1mmの薄さの無機ナノシートの集合体を用いて、力を検知して色変化を起こす新素材「無機ナノシート構造色ゲル」を開発した。
この新素材は、1kPa(豆腐を押しつぶすのに必要な力の10分の1ほど)というきわめて弱い力を検知し、1000分1秒の以下のスピードで応答して色が変わるもので、この色変化は何度も繰り返して起こすことができるという。
これにより、複雑なセンサーの取り付けを行うことなく、物体のどの部位にどれくらいの圧力がかかっているかを、リアルタイムで色調変化としてとらえることが可能となる。
さらに、無機ナノシートが高分子ゲルとナノレベルで複合化されているので、柔軟性と強度(圧縮破壊強度3MPa)をあわせ持ち、荷重による破壊前兆を警告する表示デバイスも実現できる。
また、インクや染料と違って、紫外線などによる褪色にも強いの、色褪せない装飾品などとしても利用できるとしている。
無機ナノシートの液晶特性を利用して製造できるので、低コストで作成できるそうで、表面加重を可視化することが重要とされるスポーツ科学分野や、水力発電用水車などのエネルギー機器開発分野での利用が期待されている。