展覧会という場のもつ可能性を問いかける
キュレーターマチュウ・コプランによる「エキシビジョン・カッティングス」開催

▲マチュウ・コプランによる福岡正信の「四季の食物マンダラ図」スケッチ
参照:『自然農法 わら一本の革命』(春秋社、2004年、p.201)

エルメス財団は、英ロンドンを拠点にするフランス/イギリス人キュレーター、マチュウ・コプランによる日本で初の展覧会「エキシビジョン・カッティングス」を、2021年4月23日(金)から7月18日(日)まで銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催する。

▲マチュウ・コプランによる「エキシビジョン・カッティングス」のためのスケッチ(2021年)

マチュウ・コプランは、2003年から展覧会というプラットフォームを用いながら、どのようにその伝統的な役割や枠組みを揺るがすことができるかに挑み、新たな展覧会の体験や知覚を提案するような実践を続けてきた。

▲ベン・モレアによる「The Anti-Museum: An Anti-Documentary」のためのポスター(2020年)

▲Installation view of “The Exhibition of a Dream”| 2017 |
Calouste Gulbenkian Foundation
Courtesy Calouste Gulbenkian Foundation. Paris/ Guillaume Pazat

同展は、「カッティング(Cutting)」という言葉の持つ2つの意味から構想。ひとつは植物の「挿し木・接ぎ木」で、ある作品が一時的に切り取られて、展覧会の場所に移植され、その期間を通じて鑑賞者とともに育まれる、そんなつかの間の生態系のメタファーである。

もうひとつは、新聞などの切り抜きや映画などの編集作業の意味で、過去に行われた展示のアーカイブから文字通り「カッティング」して制作を続けるコプランの身振りを示すものである。

「挿し木・接ぎ木」として表現される空間では、音に満たされた環境を構築。曲は、急進的なミニマル・ミュージックの巨匠の1人であり、持続音を多用する音楽(ドローン・ミュージック)で知られるフィル・ニブロックが同展のために書き下ろしたもので、ギャラリー内に満ち溢れる自然光とともに、中心に設置された植物を育成するという。

▲フィル・ニブロック・西原 尚・マチュウ・コプラン(ニューヨーク、東京、ロンドンにて、2020年12月3日)

また、フィリップ・デクローザの絵画で始まるもうひとつの空間では、ドキュメンタリー映像作品「The Anti-Museum: An Anti- Documentary」を通じて、コプランの「閉鎖された展覧会の回顧展」を再訪。

▲「探索、ライン川編~ダニエルを探して」楽譜 (東京、2020年12月6日)

▲ヴォクスマーナによる収録風景(東京、2020年12月6日)

新型コロナウイルスの影響で多くの文化施設が閉鎖されるなか、ここではアーティストが芸術行為や自らの決断で展示を閉鎖した歴史とその意味を問い、アートや展示空間における制度の限界や議論を再構築しようと試みるそうだ。End

「エキシビジョン・カッティングス」 マチュウ・コプランによる展覧会

会期
2021年4月23日(金)~7月18日(日)入場無料
休館日
不定休(エルメス銀座店の営業に準ずる)
会場
銀座メゾンエルメス フォーラム 8階
詳細
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/210423/