迷路のようなリオのスラム街を3Dレーザースキャン
MITの都市分析プロジェクト「Favelas 4D」

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

近年では世界中で都市化が進んでおり、繁華街が発展したり、マスタープランの開発が行われたりしている。しかしその一方で、都市に住む約40億人の人口のうち、およそ10億人が国の都市計画から外れた無秩序な集落に住んでいるとされる。

こうした集落は次々と自然発生的に作られるので、入り組んだ街を形成することになる。そこに住む人々は、都市のインフラやサービスを受けられず、健康と安全を脅かされてしまうのだ。さらに、新しい世代の住民が増えることで、都市の人口爆発が起き、手頃な価格の公営住宅の不足が解消されないという。

こうしたなか、米マサチューセッツ工科大学のSenseable City Labは、3Dレーザースキャンデータを活用して、ブラジルのスラム街「ファヴェーラ(favela)」を調査するプロジェクト「Favelas 4D」を進めている。

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

ファヴェーラは、リオデジャネイロのような大都市の丘陵地帯に密集して多層的に形成されるそうで、非常に複雑な空間となる。そのため、リモートセンシングによるリサーチはあまりできず、衛星画像やGoogleのストリートビューなどでもはっきりと捉えることができない。

そこで、このプロジェクトでは、リオデジャネイロの建築家と協力して、同市最大のスラム街・ロシーニャ(Rocinha)地区をLiDARでスキャニング。迷路のような建築環境を高解像度・高精度で捉えることに成功した。

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

分析には、ファヴェーラの道を比較する包括的な方法と、道の形態のバリエーションを明らかにする局所的な方法があり、道幅、道の高さ、ファサードの密集度、ファサードの高さの違い、ストリートキャニオンの5つの要因を重視。

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

▲クレジット:MIT Senseable City Lab

規制のないファヴェーラの建設パターンの分析を行ったり、安全性の向上のための関与や政策立案を促す知見を得たりすることが可能となった。また、この調査を通じて、将来的なスラム街の改善や公共事業の実現を目指しているそうだ。End