バイオリアクターの気泡はどうのように弾ける?
スタンフォード大学がメカニズムを解明

石油業界や製薬会社、バイオリアクターメーカーにとって、共通の敵は「気泡」なのだそうだ。液体の製造や輸送のときに気泡ができてしまったり、はじけてしまったりすると、製品の品質に大きな問題を引き起こす可能性があるという。

もちろん気泡といってもいろんな種類があるそうで、これらがはじける瞬間を解明しようと、米スタンフォード大学などの研究グループが、ハイスピードカメラを使用した研究結果を発表した。

研究グループはまず、表面にタンパク質がある気泡に着目。こうしたものは医薬品製造の現場や細胞培養に用いられるバイオリアクターでは一般的なのだそうだが、これが針に触れると、花が開くように泡がはじけるという思いがけない結果が得られたのだ。

▲Image credit:Fuller Lab

この「花の開き方」も物理的特性や化学的特性に応じて多彩だが、そこでは「粘弾性」と呼ばれる粘性と弾性を合わせもった性質が鍵となる。水のような液体でも、消しゴムのような弾力性のあるものでもない、いわば液体と固体の中間状態にあるのが粘弾性である。

▲Image credit:Fuller Lab

この表面の粘弾性により、気泡は一般的なシャボン玉よりも固体のような特性をもち、花が開くようにはじけるのである。その様子は、風船の破裂にも似ているそうだ。

ただ、こうした気泡の破裂が美しい現象だということを確認するだけでなく、研究グループはその分析モデルの構築にも着手。気泡の形成と破裂のメカニズムをよりよく知ることで、気泡が発生しない方法を研究することがねらいだとしている。End