ダンテの「神曲」を再解析した
アーティスト エドアルド・トレソルディの新作「Sacral」

▲© Roberto Conte

イタリアのアーティスト エドアルド・トレソルディ(Edoardo Tresoldi)は、インスタレーション「Sacral」を、2021年9月1日(水)から2022年1月9日(日)まで、伊ラヴェンナの美術館 Museo d’Arte della Città di Ravennaにて公開している。

トレソルディは、「不在の物質(Absent Matter)」を手がける若手のアーティストで、ワイヤーメッシュを使って大聖堂のような大きな構造物を作り上げることを得意としている。「Sacral」が初めて公開されたのは2016年で、今回は展覧会「Dante. The Eyes and the Mind」にて披露されている。

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同展のテーマは「魂(Souls)」。トレソルディは同国の詩人・ダンテの「神曲」時獄篇のなかの一節「偉大なる魂の城(Castello degli Spiriti di Magni)」を再解釈して、来場者が周囲の風景とインタラクトしながら、想像力を膨らませる体験を提供している。

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ダンテ曰く、この「高貴な城」は、生前に名誉や名声を残した人々の魂が生息する象徴的な場所である。それらは古代の哲学者や詩人、科学者、作家といった人たちの偉大な魂で、威厳があってゆっくりと動く目をもつという。

彼らは道徳的に優れていたので、地上での生活で素晴らしいものだったが、神学的な徳が欠けていたために、永遠の苦しみを運命づけられているのだそうだ。

▲© Roberto Conte

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来場者はこの「高貴な城」を表現した作品に入ることができ、まるでこの物語を演じるかのように、ダンテの旅をたどることができる。

トレソルディは、「典型的なイメージを使い、時代を超えて繰り返される意味を含んだ言葉を用いることで、過去と現在のあいだの対話を作り出すことができます」と語る。

▲© Roberto Conte

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また、展覧会の現代アートセクションでは、魂、旅、女性、夢、光など、ダンテのさまざまなテーマを探っている。「『Sacral』は、私たちがかつて行ったことのあるような場所の記憶を呼び覚ますものです。それは、訪れた人をダンテの探求へと誘う身近なイメージなのです」と同氏はコメントしている。End