リコー、「充電のない世界」の実現に向けて
フレキシブルな環境発電デバイスを開発

IoT社会の到来により、センサーやウェアラブルデバイスなど、さまざまな「モノ」が常時ネットワークに接続される環境が整備されつつある。

そこで、もっとも重要かつ喫緊の課題のひとつとしてあげられるのが「電源」の問題だ。配線やメンテナンスが不要で小型・軽量、さらには生活空間のあらゆる場所に柔軟に適応できる、そんな自立型電源が求められている。

リコーがこのほど九州大学と共同で開発したのは、屋内や日陰でも効率的に発電できる「フレキシブル環境発電デバイス」である。

▲フレキシブル電源基板との接続例

2021年9月からサンプル提供を開始するこのデバイスは、薄型・軽量でフィルム形状の有機薄膜太陽電池(OPV)。九州大学の高性能有機半導体設計/合成技術と、リコーの有機感光体の材料技術を組み合わせて、屋内のような低照度(約200lx)や屋外の日陰などの中照度(約10,000lx)の環境下でも高効率な発電を実現するという。

さらに、さまざまな形状のIoTデバイスに搭載することが可能。フレキシブル性を活かせる移動型・携帯型のウェアラブル端末、持ち歩きするビーコンなどのデバイス、物流や交通向けのトレーサビリティー用センサー、道路や橋梁などの社会インフラのモニタリング用センサーなどへの展開を目指している。

▲太陽電池照度域イメージ

また、これにより、身の回りのさまざまな小型電子機器類の電池の交換も不要になり、特異な層構造によって、部分的に陰がかかっても急激な出力低下が少なく、利用環境を選ばず、さまざまな場所で利用できるとしている。

▲フレキシブル環境発電デバイスが目指す充電のない世界のイメージ

リコーのRICOH Futures BU EH事業センター・田中哲也所長は、「私たちの実現させたい未来は『充電のない世界』をつくることです。人が意識的に「充電」という行為をする必要がない世界、「電池交換」という行為をする必要がない世界を実現させたいと考えています」とコメントしている。End