海水を生かして耐塩性技術を融合させた
海上建築「Arktecture」開発

海上建築スタートアップのN-ARK(ナーク)は、気候変動により深刻化する海面上昇と塩害の課題を解決するため、近代建築がもっとも苦手とするという海に適応する建築と耐塩性技術を融合させた海上建築「Arktecture(Ark+Technology+Culture)」を研究開発したことを発表した。

その第1弾として、N-ARKはアグリテックR&D会社のCULTIVERA(カルティベラ)とのパートナーシップを結び、海水を直接の栄養源として栽培できる海水農業技術と、海水農業を成立させる循環型の環境を作り出すフローティング建築技術を組み合わせた、海上ファーム「Green Ocean(グリーンオーシャン)」のプロトタイプを2022年に建設することを目指している。

グリーンオーシャンを沿岸部に浮かべることで、海の上下空間に2つのグリーンを生み出すことができる。海上には塩性農業技術を活用した、食糧生産を目的としたファームを作り、海面下では藻類などを栽培することで海中環境改善を行うという。

建材は間伐材を使用し、木材ジョイントは耐塩性を考慮したカーボンジョイントを採用する予定。浮体設備には特殊塗膜による浮力増加を想定している。

雨水を効率的に取り込むために特徴的な屋根の形状とし、雨水と海水を混ぜ合わせることでph調整と稀釈率調整を行い、塩性農業の肥料にするそうだ。

室内温度は気温が安定している冷たい海水を利用。ファーム内の空調として利用する循環的なシステム環境にすることで、グリーンオーシャンは「地球の絆創膏」のような役割をもつことができるとしている。

また、カルティベラは湿度管理で栽培する技術「モイスカルチャー」を提供。5mm程の特殊繊維で自然の土壌の表層約15cmを再現することができ、特殊繊維によって水を水分気化し、植物に水分枯渇ストレスをかけながら育てる事で、糖度やビタミンが強化された野菜を栽培することができる。End