光合成で自律的に移動する
「マリモ」をモデルにしたローバー

私たちの周りにある自然の多くの生物は、太陽光のエネルギーを利用するプロセスを進化させてきた。こうした生物は、さまざまな方法で太陽光のエネルギーを採り入れることができる。そのなかでも有名なものが光合成である。

この光合成を活用した新しいローバーが開発された。イギリス・西イングランド大学ブリストル校のNeil Phillips博士が手がけるのは、「Marimo Actuated Rover Systems(MARS)」というもの。太陽光で発電し、自律的に移動するローバーだという。

低コスト・軽量・コンパクトな光合成ローバーで、従来の電気による機械装置が生み出す、機器の感度を低下させるバックグラウンドノイズが少なくなっているそうだ。

MARSのモデルとなったのが、名称にもある通り「マリモ」である。球体のマリモは糸状の繊維で包まれているが、そこに光合成で発生した気泡が付着し、自然環境において浮き上がったり沈んだりすることが確認されている。

この装置でも同じ仕組みを使い、光合成でガスを発生させ、ローバーの重心をずらし、移動させることができる。また、ローバーが球体であれば立体的な移動もできるそうで、内部のガスが増えると回転数が上昇。水中での障害物も回避できるとしている。End