廃棄方法の不明な素材を再利用する
新たなアップサイクルシステム「openmaterial」

一般社団法人530ペーパーパレードは共同で、新たなアップサイクルシステム「openmaterial(オープンマテリアル)」を開発し、2022年1月から正式に運用を開始した。

数が少なすぎたり、回収ルートが整っていない素材は、まだ使えるとわかっていても、再利用の方法やリサイクルの仕方がわからないと捨ててしまうこともあるだろう。それゆえ、現状の廃棄ルールにはない視点で回収と再利用のプロセスを再構築し、素材の可能性を広げていく必要があるという。

そこで、同サービスでは、人々の社会経済活動によって生まれ、社会を一度経由し、再利用の可能性がある素材を「社会的人工素材(Social Artificial Material)」と命名。人々の社会経済活動によって生まれ、社会を一度経由した素材を発見し、回収・再利用するという新たな素材循環のシステムを作り上げた。

▲openmaterial 仕組み図

▲寿命ギャップ 素材再利用の課題

現在回収している素材のひとつは「屋外広告」。その多くがターポリンという、ポリエステル生地と合成樹脂を重ね合わせて作られた素材でできており、マテリアルリサイクルが難しいとされる。

また、意匠や肖像のルールがとても厳しいため、掲出が終わるとそのほとんどすべてが焼却か埋め立てになるそうで、東京・渋谷駅前では1年間で約20~30トンが廃棄となる。さらに、広告掲載期間(役割寿命)が約2週間~1ヶ月であるのに対し、ターポリン素材の寿命は5~6年と、そのギャップも非常に大きい。

▲広告再利用事例

回収素材の事例として、2021年11月に開催された写真展で使用していたターポリン幕をトラベルポーチにアップサイクルし、応募者へプレゼントしたそうだ。

デザインの力で素材のネクストライフを生み出し、素材寿命を全うさせることを目指しているという同サービス。ゼロウェイストな社会の実現を目指し、現在出しているゴミをできる限り減らせるように企業をサポートするとしている。End