METACITYと慶應SFC 田中浩也研究室
による社会彫刻「Bio Sculpture」

第25回文化庁メディア芸術祭の受賞作品と功労賞受賞者が先ごろ選出され、アート部門 ソーシャル・インパクト賞(文部科学大臣賞)には、田中浩也研究室+METACITYによるメディアインスタレーション「Bio Sculpture」が選ばれた。

慶應義塾大学 SFC 田中浩也研究室は、デザイン工学(エンジニアリング)の視点からデジタル・ファブリケーションや3D/4Dプリンティングの可能性に着目。2020年以降は、時間軸上で自然や生態系と調和するものづくりや、ものの寿命を適切に制御・更新する設計手法の可能性などを研究している。

また、METACITYは、芸術文化を豊かな未来を創造するために必要な社会インフラとして捉え、思考実験とプロトタイピングを通して、従来の都市設計とは異なる考え方で芸術文化を育み続ける、「ありうる都市」を探求するリサーチチームである。

今回受賞した「Bio Sculpture」は、人間が発展させてきた技術や社会システムを自然へと開くことで、人と自然の関係性を塑像する「人新世の社会彫刻」の模索を掲げるプロジェクト・作品だ。

30mx30m規模の造形範囲を持つ超大型3Dプリンタを使用して、赤土、黒土、赤玉土、籾殻からなる出力素材で彫刻を制作し、サンゴ礁の発生アルゴリズムをもとに「ひだ構造」を付与。これにより、彫刻の表面積を最大化させ、表面に日陰や日向が複雑に入り組んだ微小環境をつくり出している。

さらに、表面には9種の苔が共生するように配されており、温度・湿度・CO2・空気の汚れなどを自律的に調節。デジタル技術によって自然ではありえない環境をつくり出すことの効果を、微生物環境の変動を含めた長期的なセンシングを通じて明らかにするそうで、時間の経過とともに潜在していた生態系の姿が顕在化してきた時が作品の完成になるという。

なお、同作品は、2022年9月16日(金)から9月26日(月)まで東京・お台場の日本科学未来館にて開催される受賞作品展にて展示が予定されている。End