宿泊施設やルーフテラスを併設した
ウィーンのイケア都市型店舗

▲© heausler-querkraft

オーストリア・ウィーンでは、2021年にイケアの新店舗 IKEA Wien Westbahnhofがオープンした。家具を販売するだけでなく、宿泊施設やルーフテラスも併設した都市型店舗である。

公共交通機関との接続がよく、自動車での来店ができないという同店。設計を手がけた同国の建築設計事務所 querkraftによると、クライアントからは「私たちは良い隣人になりたい(We want to be a good neighbour)」という目標が与えられたという。

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▲© hertha hurnaus-querkraft

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そこで同事務所は、周辺エリアにも付加価値をもたらす建物をデザイン。誰でも利用可能な屋上のテラスでは、コーヒーを飲んだり、リラックスして街の景色を楽しんだりできる。ファサード全面には緑が広がるなど、これらすべてが「良い隣人」であることを表現している。

外観は「棚」のようなデザインで、奥行き約4.5mもあるテラスを形成。これが建物の周囲を囲むことで、日陰を提供してくれる。植物を配置するだけでなく、エレベーターや非常階段のスペースにもなっている。

▲© hertha hurnaus-querkraft

建物の内外にある樹木は160本を数える。たんに地上を利用するだけよりも、異なる高さや奥行きの屋内に木を配置することで、多様な植生が楽しめる。ウィーン市のヒートアイランド対策の一環でもあり、天然の空調システムとして、涼しさや湿度をもたらす効果があるそうだ。

▲© querkraft-ZOOMVP

構造は10x10mのグリッドによるプレハブの鉄筋コンクリート柱でできており、スペースの柔軟な利用やデザインが可能。IKEAの店舗スペースは低層階にあり、最上階2フロアを占めるホテル「Jo&Joe」には345台のベッドを完備する。同店はまさに24時間・年中無休アクティブな建物である。End