自然と人為の狭間にあるものをコラージュする
展覧会「金氏徹平 S.F. (Something Falling/Floating) 」

▲Smoke and Fog (Roadside Noguchi), 2019(Japan Society NY での展示風景)

美術家・彫刻家の金氏徹平の個展「金氏徹平 S.F. (Something Falling/Floating)」が、2022年6月26日(日)まで千葉県市原市の市原湖畔美術館にて開催中だ。

金氏は、身の回りの物を既存の意味や用途から解放して繋げていくコラージュ的手法を用いて、思いもしなかった形象や風景をダイナミックに現出させてきた。近年は文学や演劇など、ますます多様な領域を横断しつつ、さまざまなコラボレーションに取り組んできたという。

同展は、そんな同氏があらためて「彫刻」に向かいあう「S.F.」シリーズの最新作。今回は市原市内を巡り収集した使用済みのコンクリートや石など、自然と人為の狭間にある素材や物質をコラージュした新作を発表している。

▲(参考作品)S.F. (Summer Fiction),2018(大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018) Photo: Keizo Kioku

▲展示風景 Photo: Keizo Kioku

▲展示風景 Photo: Keizo Kioku

金氏が選ぶのは、都市と自然、自然と人工の間にある物や、都市や時代の記憶の断片を残す物たち。そこにこそ、想像力を刺激され、新しいイメージが掻き立てられるそうだ。

「『不安もしくは不安定な時代』という言い方がありますが、僕の知っている限りでも歴史的にも、そうでなかった時などないのではないかと思います。その中で、既存の物から意味や価値が無くなっていく過程のあるポイントと、形を持たない物に意味や価値が新しく生じる過程のあるポイントが正反対のベクトルの中で一致する瞬間のようなものを塊にしていくことにリアリティがあると考えています」と同氏は語る。

▲Smoke and Fog (City of Stones and Noodles), 2020

▲ボイルド空想(マテリアルの ユーレイ), 2017 高橋龍太郎コレクション

▲Smoke and Fog (マテリアルのユーレイ), 2021

作品が展開される市原湖畔美術館もまた、房総の里山の中で、ダムの建設によって生まれた人造湖のほとりにたたずむ、「自然」と「人為」の狭間にあるものである。そこを舞台に展開される金氏の「S.F.ワールド」を楽しむことができるだろう。End

金氏徹平 S.F. (Something Falling/Floating)

会期
2022年4月16日(土)~6月26日(日)
開館時間
平日 10:00~17:00、土曜・祝前日 9:30~19:00、日曜・祝日 9:30~18:00
※最終入館は閉館時間の30分前まで
休館日
毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
会場
市原湖畔美術館
詳細
https://lsm-ichihara.jp/exhibition/%e9%87%91%e6%b0%8f%e5%be%b9%e5%b9%b3sf/