土木工法とプロダクトデザインを融合した
nendoの新作建築「土管のゲストハウス」

▲Photographer:Takumi Ota

長野県御代田町に、佐藤オオキが率いるnendoの新作「土管のゲストハウス」が登場した。家具やプロダクト、アート作品などをアーカイブするための保管庫で、宿泊機能も備えているという。

静かで自然豊かな環境の中でnendoが採用したのは、プレキャスト工法とプレストレス工法を組み合わせた施工方法。地中に埋設される「ボックス・カルバート(箱形のコンクリート構造物)」と同じ考え方で作られた。さらに、プレストレス工法を用いてパーツ同士を繋ぐことで、機密性を確保するとともに、重ねて使用することが可能になった。

▲Photographer:Takumi Ota

▲Photographer:Takumi Ota

nendoは、建築的な作り方というよりも、土木工事の考え方にプロダクトデザインのディテールを組み合わせたそうで、こうしたモノづくりから「土管のゲストハウス」という空間が生まれたと語る。

同建築で共通して使われるのは「ロの字型」のパーツ。重さはひとつ約12tで合計63個使用しており、井桁状に積み重ね、屋根を掛けただけの構成とした。保管室は、約40mの奥行きがある細長いもののほかに、小さめのものが2つあり、収蔵物が増えれば敷地内に追加することも可能だ。

▲Photographer:Daici Ano

▲Photographer:Takumi Ota

▲Photographer:Takumi Ota

キッチンや浴室、トイレなどの水回りは1Fに集約し、2Fにはコンパクトな寝室と書斎を設置。開口部には金属製サッシを極力使わず、襖や障子をはめ込むような要領で、大判の高透過ガラスを溝に差し込んで固定している。

外部環境を積極的に屋内に引き込もうと、外構で使っている砂利や植栽と同じものを屋内でも使用。砂利のままだと歩きにくい箇所は樹脂で固定した。敷き詰めた砂利の上から樹脂で覆うとツヤが目立つので、あらかじめ樹脂を塗った下地面に、後から砂利を敷き詰めているという。

▲Photographer:Takumi Ota

▲Photographer:Daici Ano

▲Photographer:Daici Ano

また、既製品のドアハンドルをそのまま取り付けると唐突に見えることから、扉と壁の間のわずかな隙間に隠れるハンドルをオリジナルで製作したそうだ。

浴槽は、床部分を彫り込んだ形を採用。水面の高さを床面と揃えることで、土管の形状がそのまま連続しているような見た目を実現した。End

▲Photographer:Takumi Ota

▲Photographer:Daici Ano

▲Photographer:Daici Ano

▲Photographer:Daici Ano

▲Photographer:Takumi Ota

▲Photographer:Daici Ano

▲Photographer:Daici Ano

▲Photographer:Daici Ano

▲Photographer:Daici Ano