少ない労力でより速く歩ける!?
スタンフォード大学が開発する「外骨格型ブーツ」

近年、世界中の研究機関では、パワードスーツのような人間の能力を向上させる「外骨格」の開発が盛んに行われている。米スタンフォード大学がこのほど発表したのは、少ない労力で速く歩いたり走ったりできる外骨格型ブーツである。

このブーツにはふくらはぎの筋肉と連動するモーターが搭載されており、ユーザーは一歩進むごとに足を前へと押し出してくれる。

研究チームによると、はじめて装着するときは若干の調整が必要になるが、歩き始めて15分もすれば自然に歩くことができ、足にバネがついたように感じられて、歩みがとても軽やかになるとしている。

また、これまでの外骨格の課題はパーソナライゼーションだった。直感やバイオミミクリー(生物模倣)などを組み合わせてきたが、人間は千差万別で、外骨格をうまく機能させられなかったそうだ。

そこで、外骨格エミュレーターを使い、人の動作やエネルギー消費のデータを収集。機械学習モデルを構築して、ブーツに搭載された安価なウェアラブルセンサーだけで動きをモニタリングする。これにより、力の加減や足首の動きを測定し、歩行時にデバイスを制御して、安全かつさりげなく支援してくれる。

外骨格をカスタマイズするのに約1時間の歩行が必要。ふつうの靴を履いて歩くのと比べて、移動距離ごとに消費されるエネルギーは17%も減少、歩行スピードは9%上昇する。

研究チームの次の目標は、ターゲット層である高齢者や歩行障害のある人々に対して、外骨格の有効性を確認することだ。さらに企業と協力して、バランスを調整して関節痛を軽減するなどのバリエーションを作り、デバイスを製品化することを目指している。End