魅惑的な鏡の世界に誘うインスタレーション
建築家 Fabio Mazzeoの「Mirror of Wonders」

▲Photo credit: Bianca Puleo

ルイス・キャロルの小説「鏡の国のアリス」のごとく、魅惑的でかえって不安にさせるような不思議な鏡の世界がイタリア・ローマに出現した。イタリアの建築家 Fabio Mazzeoが作りあげた「Mirror of Wonders」は、ローマ市内にある17世紀の邸宅を舞台にした、万華鏡のように反射する空間でゲストを驚かせるインスタレーションである。

幅4.5m、高さ4mの大きな鏡張りの壁面はいくつかのセクションに分割されており、すべては動く仕掛けになっている。絶え間ない反射の相互作用で空間は変化し、きらめくようなイメージのなかに予想しなかった断片が紛れ込むのである。

▲Photo credit: Bianca Puleo

▲Photo credit: Bianca Puleo

▲Photo credit: Bianca Puleo

そのほか、室内にはもうひとつ別の作品がある。Fabio Mazzeo Architectsがデザインした印象的なスカルプチャーテーブルで、これもまた変化する反射を作り出している。

▲Photo credit: Bianca Puleo

▲Photo credit: Bianca Puleo

▲Photo credit: Bianca Puleo

▲Photo credit: Bianca Puleo

インスタレーションはミラースクリーン技術によってモニターと統合されており、反射面を変えたりできるそうだ。さらに、金箔を貼った背景とバックライトは鏡のひび割れを表現しており、内側を流れる、脈打つような地下のエネルギーを思わせるオブジェとなっている。

▲Photo credit: Bianca Puleo

Fabio Mazzeoは、「どんなプロジェクトでもそうですが、私たちは仕立て屋のように細部の設定から始めて、強いアイデンティティを備えた、ユニークな特徴をもつ空間を作り上げました。ホールは60平米と広く、密な部分よりも空白のほうが多いのですが、壁は手作業で装飾されています。銀箔の下地にイタリアカサマツが白く描かれており、まるで雪化粧をした庭園のようです」と語る。

▲Fabio Mazzeo Photo credit: Bianca Puleo

続けて、「私たちは過剰ややり過ぎを避けようとしました。こうしたアイデアから、権威主義的でも押しつけがましくもないインスタレーションを思いつき、歴史ある環境と調和のとれたバランスが見出せるような現代的な作品が生まれました」と説明している。End