日本で3種目となるマリモ類が発見
本栖湖にちなんで「モトスマリモ」と命名

▲山梨県の民家の水槽で飼育されているモトスマリモの拡大写真

独立行政法人国立科学博物館辻彰洋研究主幹(植物研究部)は、山梨県の民家の水槽から発生したマリモ類がAegagropilopsis(アエガグロピロプシス)属の日本新産種であると発表した。日本で見つかった球状になるマリモ類としては「マリモ」「タテヤママリモ」についで3種目で、「モトスマリモ」と命名された。

▲山梨県の民家の水槽で飼育されているモトスマリモ

顕微鏡で観察した結果では、「マリモ」「タテヤママリモ」と同じく、枝分かれした糸状体が絡み合って球形の群体を形成。また、「マリモ」ではほとんど観察例がない遊走子(鞭毛を持って水中を遊泳する胞子)も見つかった。

阿寒湖で有名で、山中湖でも見られる「マリモ」は、水槽で飼育を続けると糸状体が伸びて丸い群体が崩れていくという。今回発見されたマリモは、特別なことをしなくても、水槽での長期の飼育中に球形を維持。「タテヤママリモ」よりも安定して密な球体を作っている。

▲モトスマリモの糸状体

▲形成された遊走子

このAegagropilopsis属は二枚貝に付着して生活するそうだが、今回の山梨県の民家の水槽には国内産地のタイリクバラタナゴ以外の外来種を入れていないので、この魚の産卵用に入れた本栖湖産の二枚貝に付着してもたらされたと推定。和名を「モトスマリモ」とした。

今のところ、同種が本栖湖に在来種として生息していたのか、外来種として移入してきたのかは不明。また、本栖湖では、水槽で見られるような球状の群体ではなく、二枚貝に短い糸状体として付着している可能性があり、富士五湖での潜水調査を計画している。

▲「モトスマリモ」「マリモ」「タテヤママリモ」のリボゾームRNA(18S rRNA)による系統関係 (関連部分抜粋

また、今回見つかったモトスマリモは、「マリモ」や「タテヤママリモ」ととても似ているので、いままで混同されてきた可能性もある。この発表を機に、さまざまな地域から報告される可能性もあるとしている。End