東京の表参道・外苑前・渋谷・原宿・六本木・広尾・銀座において、デザイン＆アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2022」が、2022年10月21日（金）から10月30日（日）まで開催された。今年は「TOGETHER ～融合する好奇心～」をテーマに、約3年ぶりに国内外のクリエイターや企業が集結した。個性あふれる92の展示の中からいくつかの内容をレポート。

▲イスラエル人デザイナーのOrna Tamir Schestowitzが手がけた「Seeds of Heritage」。

メインの北青山展示エリアでは、サステナブルを基軸とするエキシビション「NEXT CIRCULATION」が開催された。リサイクルやアップサイクルの「その先まで」を見据え、サスティナブル×テクノロジーを基軸とするエキシビションとなっていた。デザイナーの板坂諭が空間構成を手がけた。

▲台湾デザイン研究院による特別企画「the SP!RAL」では、CRYSTNなどサーキュラーエコノミーの7ブランドが展示された。
©Daisaku OOZU

▲ガーデンエリアでは、三井化学が新規開発した素材「TAFNEX®」を使った作品が展示された。

同エリアにあるITOCHU SDGs STUDIOでは、再⽣と循環をテーマに３つの作品が展示された。Konelによる繊維廃材からできた板材の下駄「QUON」、Ao.による廃棄木製家具と伐採・製材された無垢の木材を再構成した藍染め家具「Ao.Re:（アオリ）」、Studio POETIC CURIOSITYによる利用済みや廃棄されたファブリックによるレコード盤の音を楽しむ「ファブリック・レコード」といった作品展示が目を引いた。

▲Konelによる下駄「QUON」

▲「Ao.」©Nacasa & Partners

▲Studio POETIC CURIOSITY Photo by Mina Asaba

東京ミッドタウンでは、「環（めぐ）るデザイン」をキーワードに、インテリアデザイナーの山本大介が、流動するマテリアルサイクル「FLOW」をambi & STUDIO RELIGHTがseries「sea」を展示。

▲山本大介による椅子シリーズ「FLOW」
©Nacasa & Partners

また、フランスのプレステージ・シャンパーニュメゾン「ペリエ ジュエ」は、パリを拠点とするアーティストのガランス・ヴァレとのコラボレーション作品「⼤地から空へ」を世界に先駆けて初公開した。

「ヴァレは地球を全ての生命体の共有地とみなし、ヒトはここに息づく多様な生物の一部だと考えています。彼女は鏡を使って、体験者を作品に融合させます。この作品は、ペリエ ジュエが創立当時から大切にしてきたアートの理念と自然なブドウ畑の生態系を再解釈したものです」とペリエ ジュエのスタイルディレクターのアクセル・ド・ビュフェヴァンは説明する。

▲ペリエ ジュエのアートの理念を表現したコラボレーション作品「Planted Air（⼤地から空へ）」。

Hz SHIBUYAには、アジアのクリエイターによる注目度の高い作品が結集した。quantum × Stratasys Japanのプロジェクト「mitate」では、AIであらゆる物体を器に見立ててユニークな器の画像を生成。画像を元に3Dデータを設計して、フルカラー3Dプリンターで実体化した器24点を紹介した。

▲quantum × Stratasys Japanによる「mitate」プロジェクト。

⾚坂の旧料亭をリノベーションした「KAISU」では、建築家の芦沢啓治が率いる⽯巻⼯房による、「2 days at Ishinomaki　Laboratory」を開催。7⼈のデザイナーが石巻工房に2日間滞在し、工房に近接したゲストハウス、「⽯巻ホームベース」をテーマにしたワークショップを通して生まれた11の家具デザインが展示された。

▲石巻工房によるワークショップ「2 days at Ishinomaki Laboratory」が開催された。
©Nacasa & Partners

街に活気が徐々に戻ってきた今だからこそ、デザイン、アート、インテリア、ファッションなどの作品が新しい日常や生き方のヒントになるだろう。 (文：AXIS 清水)