シェラトンホテルのイメージを一新するシェラトン鹿児島

シェラトンホテルというとどんな印象があるだろう?住んでいる国によってさまざまだろうが、とりわけ北米に馴染みのある人にとっては、グローバルに展開するホテルチェーン、機能的、どこに泊まっても期待できる変わらぬクオリティー……。その反面個性やローカル色はそれほど感じないという印象を持つのではないだろうか?
2023年5月末に鹿児島にオープンしたシェラトン鹿児島はそうしたイメージをよい意味で裏切る。

長いシークエンスを活かした設計

シェラトン鹿児島は、新幹線駅の鹿児島中央駅から徒歩20分、クルマで10分程の甲突川のほとりに位置する。ホテルのエントランス横には「鹿児島市路面電車発祥の地」の石碑が立っている。大正元年に運行を始めた路面電車は、最初、鹿児島駅とホテルの目の前にある停車場「武之橋」を結んでいたのである。敷地は、市電と道路の流れに沿った細長い土地。ホテルはそれをうまく活かした設計がされている。

ホテルの目の前は路面電車の停車場「武之橋」。

エントランスを入ると、向かって左に展開するロビーエリアとボールルームスペースへ向かうエスカレータへと、中央のレセプションで二分されている。ロビーは、現代の「パブリックスクエア」という街のリビングルームとして構想された。ひとりでリラックスしたり、待ち合わせや会話ができるさまざまなレベルと家具が配置され、吹き抜けにはグリーンウォールがあり、外との一体感のある明るい空間が広がる。

ロビー。右手がレセプションカウンター、左にカフェ&ワークエリアがある。Photo by Taran Wilkhu

カフェ&ワークエリアのテーブルトップ

シェラトン鹿児島の大きな特長のひとつは桜島を源泉とする天然温泉の浴場と足湯があるラウンジを楽しめることだ。エレベーターを降りて温泉に向かうには窓のない細い廊下を進むことになる。その長い廊下によって、ビジネスの場からリラックスの場へと頭が切り替わっていく。

同じフロアにはスパ、フィットネスセンターが併設されている。Photo by Taran Wilkhu

最上階には、メインダイニングの「FLYING HOG GRILL」とバーの「VIVARIUM」があり、シームレスにつながっているのだが雰囲気はまったく違う。どのフロアも長いシークエンスを活かした設計がされている。

鹿児島の黒豚を堪能できるメインダイニング「フライングホググリル」。Photo by Taran Wilkhu

溶岩をイメージした冷たいスイート。ツブツブした舌触りと練乳の甘さが絶妙だ。

バー「ビバリウム」には地元の植物が育つ。店内ではドリンクやフードに採り入れるハーブも栽培している。

鹿児島県内初の高級外資系ホテル

設計者の相崎 準はニューヨークで育ち学んだあと、ブルックリンにデザインスタジオCRÈMEを設立した。このホテルのもうひとつの特長は、彼らの日本への郷愁とともに、外からの新鮮な目で見た鹿児島の工芸品や、またニューヨークのアーティストの作品をホテル内にうまく取り込んでいることだ。薩摩切子や地元の窯でできた多様な焼き物、織物、竹細工が1階カフェや18階のクラブラウンジを中心に、ホテル内に散りばめられている。

Photo by Taran Wilkhu

鹿児島の焼酎のラインナップも充実しているバー

ニューヨークのアーティストFanny Allieの作品。Photo by Taran Wilkhu

宿泊するときはぜひ桜島に面した部屋をおすすめしたい。桜島の煙、鹿児島湾を行き交うフェリーや、幾重にもかかる橋を渡るクルマの流れ。少しづつ変化していく風景は見飽きることがない。ずっと見続けたくなる景色を堪能できる。(文/AXIS 辻村亮子)End

客室から見た桜島。Photo by Taran Wilkhu