人文・社会科学分野の研究者を伴走支援し、持続的な活動をサポートするアカデミックインキュベーター「デサイロ（De-Silo）」は、研究者とアーティストの協働によるイベント「DE-SILO EXPERIMENT 2024」を、2024年4月13日（土）・14日（日）に東京・南青山のWALL&WALLおよびOMOTESANDO MUSEUMで開催する。

昨今の人文・社会科学の分野は、理系の諸分野に比べると、社会的意義が認められづらい傾向にある。常勤職のポスト減少やキャリアパスの不透明さなども相まって、大学院への進学者数も伸び悩んでいる状況が続いている。

デサイロは、このような苦況にある現代日本の人文・社会科学の重要課題を「サイロ化（=組織やシステムなどが連携せずに孤立してしまう状態）」と考え、その現状を打開（＝De-Silo）し、研究のなかから生まれたアイデアや概念の社会化を実現するために設立された。

今回のイベントでは、人文・社会科学分野の研究者4名が、「いま私たちはどんな時代を生きているのか？」を考えるために、「21世紀の理想の身体」「『私たち性 we-ness』の不在とその希求」「ポストヒューマン時代の感情資本 」「『生きているという実感』が灯る瞬間の探求」という4つの研究テーマを設定。

このテーマに基づいて、小説から音楽、映像、メディアアートまで、ジャンルも表現媒体も多様なアーティスト11組が参加し、展示やパフォーマンス、トークセッション、ワークショップを通じて研究成果を披露する。

これらのテーマに通底するのは、私たちの社会から抜け落ちつつある「生の実感とリアリティ」である。「研究」と「アート」を交差させながら、さまざまな課題を考え直す、これまでにない知的イベントとなるだろう。

交差する「研究」と「小説」：磯野真穂 × 松田青子／李 琴峰／山内マリコ
「21世紀の理想の身体」をテーマに、小説家の山内マリコ、松田青子、李琴峰が短編小説を執筆。イベント当日は参加者が「理想の身体」を問うワークショップを開催。

交差する「研究」と「アート」：磯野真穂 × 山内祥太
映像、彫刻、VR、パフォーマンスなどのメディアを通じて、身体性の生々しさと現代のテクノロジーを対峙させてきたアーティストの山内祥太が「21世紀の理想の身体」に応答。

交差する「研究」と「映像」：柳澤田実 × Pennacky × 荘子it
気鋭の映像作家Pennackyが、「原風景」をテーマに「私たち性 we-ness」を浮かび上がらせる新作を制作。イベント当日はアーティストの荘子itを迎えたヴィジュアルパフォーマンスを披露。

交差する「研究」と「音楽」：柳澤田実 × んoon
ジャンルの境界線を“揺蕩う“バンド、んoonが「私たち性 we-ness」に応答し、楽曲制作とライブパフォーマンスを披露。

交差する「研究」と「メディアアート」：山田陽子 × 木原 共
新たな問いを人々から引き出す「遊び」をテーマに、実験的なゲームやインスタレーションを開発してきたメディアアーティストの木原共が、「感情資本」をテーマに作品を制作し、展示とパフォーマンスを実施。

交差する「研究」と「音楽」：和田夏実 × マイカ・ルブテ
先鋭的な表現をつねに追求してきた音楽プロデューサー／シンガーソングライターのマイカ・ルブテが、「生きているという実感」というテーマに応答し、楽曲制作とライブパフォーマンスを披露。

交差する「研究」と「アート」：和田夏実 × Keiken
フィジカルとデジタルが融合する作品を手がけてきたアーティストコレクティブKeikenが、「生きているという実感」を解釈し、体験型インスタレーションを制作。

交差する「研究」と「音楽」：磯野真穂 ／ 柳澤田実 ／ 山田陽子 ／ 和田夏実 × Skaai
研究者への道からラッパーに転身したアーティストのSkaaiが、4人の研究者による4つの研究テーマを解釈。イベント当日はDJ Setによるパフォーマンスを実施。