コクヨデザインアワード2024
未来に本質として残る「primitive」なプロダクトデザイン

グランプリ 「削鉛筆」伝野 輔

2024年3月16日「コクヨデザインアワード2024」の最終審査が行われた。今年度は国内外から1,480点(国内876点、海外604点)の応募があり、二次審査とパテント調査を通過した10作品のなかから、伝野 輔(でんの・たすく)による作品「削鉛筆」がグランプリに選ばれた。

今回で21回目となるコクヨデザインアワード。今年度のテーマ「primitive」は、自然に近い「本来の」状態や、磨かれたり、洗練されたり、発展したりする前の「素の」状態、あるいは何かからすべてを取り去った「根源的な」状態を意味する言葉だが、これを同アワードは「本質の再定義」と解釈した。未来を想像するために「primitive」に立ち返り、慣れ親しんだものを改めて見つめ直したときに、さらなる進化の可能性が見えてくるのではないか。こうした「primitive」から生まれる、これからの未来に「本質」として残るプロダクトデザインの提案を求めた。

グランプリを受賞した「削鉛筆」は、幼いときから手が大きかったため、径が細い標準規格の鉛筆を上手く握れなかったという伝野自身の体験をもとにした、自分の欲しい形を自分でつくる素材としてのプロダクトである。「これまで自分にとって本当に使いやすい鉛筆に出会ったことがありません。私以外にも画一化された規格品を不自由に感じる人たちがいると考えてこのプロダクトを考案しました」と作品の背景を説明した。

優秀賞 「Memento」田中聡一朗

優秀賞は3点が選ばれた。田中聡一朗の「Memento」は小石のような丸みのある卓上用の小さなホワイトボード。ちょっとしたメモなら書いて消し、大切な言葉なら消さずデスクにそっと置いて石のような佇まいをゆっくりと眺める。まさに、現代のせわしなさと原始的な時間の流れのあいだにあるプロダクトである。

優秀賞 「移ろう色鉛筆」大原衣吹

大原衣吹による「移ろう色鉛筆」は、種から芽が出て葉が茂り、花を咲かせて枯れてゆくという植物の一生を色の移り変わりで表現した色鉛筆である。誰しも、ふと香る花の香りや青々と茂った緑に足を止めた経験がある。季節が移ろい草花が姿を変えるように、使っていくうちに色が移ろう色鉛筆には思いもよらない変化が現れる。

優秀賞 「滴付箋」フカタカ(佐藤貴明、深沢真緒)

こぼれ落ちた涙のように心が動いた瞬間の記録を残す「滴付箋」は、デザインデュオのフカタカ(佐藤貴明、深沢真緒)がデザインした作品。従来の細長い付箋のように端が本からはみ出ることがなく、ページ内のどこにでも自由に印を残すことができる。また、本をめくるとページが自然と開くように厚みを少しもたせている。

KDA2024グランプリ

グランプリを獲得した伝野 輔(でんの・たすく)とコクヨ株式会社 代表取締役社長 黒田英邦

受賞者には、今回のテーマ「primitive」を「本質の再定義」と解釈したことに合わせ、虫眼鏡をモチーフに「本質を見抜く視点」をアイコニックに表現したトロフィーと、イラストレーター 平井利和制作の今年度のキービジュアルである「目」をあしらった表彰状を贈呈。いずれも同アワード審査員の木住野彰悟(6D)がキービジュアルとアートディレクションを担当し、コクヨのデザイナーである福島拓真と品川 及がデザインを手がけた。グランプリの表彰状は目の部分にステンレスをはめ込んだ特別仕様となっている。End

虫眼鏡をモチーフに「本質を見抜く視点」をアイコニックに表現したトロフィー

今年度のキービジュアルである「目」をあしらった表彰状

ファイナリストの6作品

「文具の素」山田泰之

「FLUTE」酒元菜摘

「年輪定規」A STUDIO(Lyu Muzhi、Jiang Fang、Chen Yang)

「Fig Emulsion」W-oH(Yingqi Liu、Yuxuan Chen)

「岩窟のノート」松本卓也

「At the moment」RANTA(古井翔真、小林遣)