京都の老舗着物メーカー問屋と気鋭のクリエイターによる
「着物を考えるための調べもの」展が開催

京都・室町二条で1720年(享保5年)に創業した着物のメーカー問屋の矢代仁(やしろに)は、350周年に向けたプロジェクト「YSN:ゆっくり・しっかり・のこす」をスタート。写真フェスティバル「KG+」のプログラムのとして、エキシビション第1弾「着物を考えるための調べもの」を京都市中京区のGallery SUGATAにて2024年5月1日(水)から5月12日(日)まで開催する。

同展では、「いま考えるべきテーマを、自由な視点でときほぐす」をコンセプトに、「職人の高齢化が進むなかで、技術をいかに受け継ぐか?」「猛暑が進む日本で着物の生地がもつ機能をどう活かすか?」「江戸時代の柄を現在の目線でいかに解釈しうるか?」「都市空間のなかで伝統的な着物はどう映るのか?」といった問いを立てながら、着物にまつわるさまざまな事柄について調べ、3つのコンテンツを発表する。

コンテンツのひとつ目は、「着物の生地の『シボ感』を3Dスキャンして解析してみる」。将軍の肌着に起源をもつとされる着物「御召(おめし)」の生地を、現代の冷感インナーなどと比較しながら、高さスキャン、高解像度スキャン、CTスキャンという3つの非破壊手法でデータ化。東京を拠点とするテクニカルディレクター集団「BASSDRUM」が手がけた3Dプリントや空間再現ディスプレイにより、御召がもつ独自の風合い「シボ感」をさまざまな角度から体験できる。

ふたつ目は、デザイン、アート、テクノロジーのプロフェッショナルによる、「江戸時代に起源をもつ『柄帳』を3つの視点で分析する」。和洋女子大学教授・美術史研究者の小澤京子、リサーチャー清水 快とデザイナー岩見遙果らによるkye+iwm+llm、デザイナー・プリンター・採集者の吉田勝信が、矢代仁に伝わる江戸時代の柄データベース「裂地台帳」を分類、ピックアップし、現代の視点から新たな価値を再発見する試みである。

三つ目は、現代の日常において着物のビジュアル化はいかに可能かを問う「移動のなかの着物を写真で捉える」。写真家・岡﨑果歩とスタイリスト・中本ひろみによるクリエイティブユニット「néné petit」が、電車や駅といった移動空間での「着物のあり方」を考えたコンテンツである。End

YSN:ゆっくり・しっかり・のこす
「着物を考えるための調べもの」

会期
2024年5月1日(水)~5月12日(日)
11:00~18:00 全日営業 入場無料
会場
Gallery SUGATA(京都府京都市中京区蛸薬師町271-1 然花抄院室町本店内)
詳細
https://kgplus.kyotographie.jp/exhibitions/2024/ysn-studio/