鉄道の沿線全体をホテルに見立て、駅周辺の集落にある地域資源の利活用を行う企業「沿線まるごと」は、JR青梅線の鳩ノ巣駅・古里駅間で、沿線まるごとホテル「Satologue」のレストランおよびサウナを2024年5月16日（木）にオープンした。

レストラン外観

東京都奥多摩町に誕生した「Satologue」は、空間やサービス、アクティビティのなかで、ゲストが地域の歴史・文化・自然やそこに住まう人々の営みといった「里の物語」を楽しむことができる。この地域を「ふるさと」のような存在として感じてもらたいという思いが込められた施設となった。

今回は、宿泊棟の開業に先立ち、奥多摩の食材を使った「沿線ガストロノミー（沿線地域の風土、歴史、文化を料理で表現する）」を提供するレストラン「時帰路（TOKIRO）」と、林業で栄えた奥多摩の地を感じる薪サウナ「風木水（FUKISUI）」がオープン。設計はいずれも建築家の堀部安嗣が担当した。

「時帰路（TOKIRO）」

古民家を改修した「時帰路」には、屋外と室内をできる限り隔てないように、庭側に大きな窓を設置。奥多摩の山々や多摩川の清流といった、目の前に広がる豊かな自然を眺めながら、奥多摩や青梅由来の食材を使った料理を提供する。杉や桧、椹（さわら）、栗などの日本で昔から使用された木材が用いられた、シンプルで落ち着いた空間で食事を堪能できる。

コンクリートの倉庫を改修した「風木水」は、薪サウナをはじめ、川から水を引き込んだ水風呂、緑につつまれた外気浴など、奥多摩の風土に浸る入浴体験ができる。薪サウナでは地場の木材を消費しており、入浴はこの地の林業の営みに参加することにもつながっている。

「風木水（FUKISUI）」

そのほか、敷地内のランドスケープは造園家の彌永秀一が担当。地域に暮らすスタッフの案内により、敷地内に自生する草木や堆肥から手作りした無農薬の野菜畑、清らかな水が流れるワサビ田や地域の生態系を大切にしたビオトープなど、奥多摩の自然が体感できる。

ランドスケープ